内容説明
長い苦しみの果てにやっと独立と自由を勝ち得た旧植民地は、その後どのように変化したか。独立国家は新しい市民を誕生させたが、彼らの生活は保障されるどころか支配層の専制と腐敗が市民を一層悲惨な状況に陥れている現実を冷静に見据え、怠慢をつづける新生国家の政治指導者と沈黙を守る知識人を厳しく批判しつつ、今日の「脱植民地人の肖像」を描き出す。自己の苦難の体験を通して、現代社会における差別と抑圧の問題を真摯に問うメンミの最新評論。
目次
新しい市民(大いなる幻滅;逆説的な貧困;腐敗;ペテン師と専制君主 ほか)
移民(二重に祝福された国外移住…;…そして二重の挫折;新しい両者の関係;ゲットー、避難所、袋小路 ほか)
著者等紹介
メンミ,アルベール[メンミ,アルベール][Memmi,Albert]
現代フランスの作家、評論家。1920年チュニジアのチュニスで、ユダヤ人の父親とベルベル人の母親の家庭に生まれる。アルジェ大学、パリ大学で哲学を学ぶ。パリ第十大学で社会心理学を講じ現在は同大学名誉教授
菊地昌実[キクチマサミ]
1938年生まれ。東京大学大学院で比較文学を専攻。北海道大学名誉教授
白井成雄[シライシゲオ]
1933年生まれ。東京大学大学院で仏文学・思想を専攻。名古屋大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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