叢書・ウニベルシタス
文学が脅かされている―付・現代批評家論五編

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  • サイズ B6判/ページ数 168p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588009297
  • NDC分類 904
  • Cコード C1310

内容説明

文学の効用は、時代を超えた他者理解を通じて、万人に開かれたコミュニケーションを生み出すことにある。現今の文学教育や批評の言説を覆う形骸化とニヒリズムを批判し、読者の人生に豊かさとかけがえのない意味を与える力としての文学の尊厳を擁護する試み。日本語版補遺として、バフチン、バルト、クンデラなど5人の批評家論を特別収録。

目次

文学は馬鹿らしいほどに矮小化されている
学校を越えて
近代美学の誕生
啓蒙の美学
ロマン主義から前衛へ
文学には何ができるか?
無尽蔵のコミュニケーション
補遺 現代批評家論五編(邦訳版特別収録)

著者等紹介

トドロフ,ツヴェタン[トドロフ,ツヴェタン][Todorov,Tzvetan]
1939年、ブルガリアに生まれる。1973年、フランスに帰化。ロラン・バルトの指導のもとに『小説の記号学』(67)を著して構造主義的文学批評の先駆をなす。91年、『歴史のモラル』でルソー賞を受賞

小野潮[オノウシオ]
1955年宮城県に生まれる。東北大学大学院博士課程単位取得修了。中央大学文学部教授。19世紀フランス文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

13
70ページほどの小さな表題エッセイと、バフチン、バルト、クンデラ、ベニシュー、ワット、五人の現代文学批評家に対するちょっとした文章を合わせたもの。表題作は、現代フランスにおける文学教育が構造主義以降「文学教員再生産のため」だけの文学にまで矮小化されてしまっていることへの警鐘。日本でいう「文学軽視」とは異なり、次元ではあれ(ある意味では羨ましい)、文学は矮小化されてしまっている。その文学を、トドロフは専門家の占有物ではなく、誰もが自分の人生にとって大切な、人間存在そのものへと迫る助けとなるものへと取り戻す。2016/07/30

ndj.

9
「普通の読者は、読む作品に自分の人生に意味を与えてくれるものを求めているがそのような読者こそが正しいのであり、文学は文学についてしか語らず、文学は絶望しか教えないという教員、批評家、作家は間違っている」。たしかに思想や意味から切り離された文学には何の価値もないが、本書の主張を突き詰めれば文学を脅かしているのは自己言及的な袋小路に陥っている文学理論である、ということになる。長年構造主義的研究を牽引してきた筆者がそれを言うのか…と呆然とした。2016/03/09

Ecriture

8
現代フランス文学が未だにニヒリズム、独我論的自己中心主義、形式の戯れに堕しているせいで、世界とのつながりを持った文学の可能性が脅かされているらしい。理論と作品の関係についてはハイデガーが言ってたのと同じことを言っている。共産主義下でフォルマリズムに亡命した人の青春物語。結局文学を道徳教育に使っておしまいの結論。2010/08/15

刳森伸一

1
要するに、文学を文学研究の枠組みの中だけに限定することへの反論。文学を愛する一般読者にとっては至極真っ当な意見だろう。2013/04/16

星規夫

0
文学と教育の関係について考える上で参考になるかもしれない。2012/03/18

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