内容説明
生と死、自己と他者、現実と夢、妄想と事実、正常と異常…日常の中の二項対立を越えて、熊楠が考え続けたものは何だったのか。膨大に書かれ、残された記録の中から「夢」を巡る断片をつなぎ合わせ、いまなお驚きと斬新さを持ち続けるその哲学を浮かび上がらせて、熊楠の創造的な思考が、外的な現実と心の内的祖型とをつなぐ中間的な「通路(パサージュ)」でおこなわれたことを明らかにする。
目次
第1章 熊楠による夢の記述
第2章 熊楠と羽山兄弟―intimateな関係
第3章 「事」としての夢
第4章 夢と「やりあて」
第5章 熊楠の採集・観察行為
第6章 「大不思議」―根源的な場をめぐって
終章 「中間」と“中間”―熊楠のポジションについて
著者等紹介
唐澤太輔[カラサワタイスケ]
1978年、兵庫県神戸市生まれ。2002年3月、慶應義塾大学文学部卒業。2012年9月、早稲田大学社会科学研究科修了(博士〔学術〕)。専門は哲学・生命倫理学。2011年4月~早稲田大学社会科学総合学術院・助手を経て、同学術院・助教。2008年、第1回南方熊楠研究奨励事業・助成研究採択(研究課題:南方熊楠「夢」の記述に関する研究―「やりあて」と関連させながら―)。2009年4月~2011年3月、日本学術振興会特別研究員(DC‐2)。2009年、「ひらめきと創造的活動のプロセス―南方熊楠の「やりあて」に関する考察を中心に―」で「涙骨賞」(中外日報社)並びに「小野梓記念学術賞」(早稲田大学)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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