村上春樹―「喪失」の物語から「転換」の物語へ

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  • サイズ B6判/ページ数 294p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784585053828
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

内容説明

処女作から最新作まで、長・短編、対談、エッセイ、翻訳書など、主要作品の全てを読み解く。『海辺のカフカ』と『アフターダーク』との落差。『東京奇譚集』に見られる後退とは?オウム事件、阪神淡路大震災の起きた90年代以降、「変化・転換」したはずの村上春樹。その現状を明らかにする。実地調査に基づく貴重な論文「中国における村上春樹の受容」収載。

目次

第1部 「喪失」の物語―ザ・ロスト・ワールド(一九七〇年の「風」―『風の歌を聴け』;一九七〇年の「落とし物」―『1973年のピンボール』;冒険・あるいは“羊”殺しの物語―『羊をめぐる冒険』;一九七〇年からの帰還―『ダンス・ダンス・ダンス』;“喪失”もしくは“恋愛”の物語―『ノルウェイの森』;終末の時、〈私〉の行方―『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』;もうひとつの〈村上春樹ワールド〉―短編小説の世界)
第2部 「転換」の物語―「デタッチメント」から「コミットメント」へ(「転換」―九〇年代に;「ねじまき鳥」とは何か、あるいは「歴史」への眼差し;「デタッチメント」から「コミットメント」へ;「コミットメント」の行方)
付録 中国における村上春樹の受容

著者等紹介

黒古一夫[クロコカズオ]
1945年生まれ。群馬県出身。文芸評論家・筑波大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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田中峰和

2
後に「村上春樹批判」で、村上批判の急先鋒のように捉えられる著者だが、10年前のこの本では、親村上の姿勢が鮮明だ。「風の歌…」「ピンボール」、「羊をめぐる冒険」を鼠三部作と命名した黒古は、村上に親近感を覚えていたことを明記。なぜなら70年までの政治の季節を作中に見出し感受できたからだと述べている。ではなぜ、彼が反村上に転じたのか。デタッチメントからコミットメントへという変遷を経て、カフカ賞受賞以降、ノーベル賞候補に挙げられスピーチなどのパフォーマンスが気に食わないからか。自分の村上でいて欲しかったのだろう。2017/02/04

ゆうき

0
学生運動からの喪失と孤独を描いた鼠三部作から過去を総括した「ノルウェーの森」から社会へコミットしようとした「ねじまき島のクロニクル」そして「海辺のカフカ」でのトラウマと癒しへの後退と「アフターダーク」で描いた監視社会とこちら側の悪、そして「東京奇談集」での迷走。要約するとこのような感じで評論している。政治問題などを絡めて批評しているので説得力があり、また巻末での中国人留学生による中国での村上春樹の読まれ方の論文も興味深かった。しかしこの本を鵜呑みにするのでは無くヒントにして自分なりの村上作品の読み方を探す2010/07/08

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