出版社内容情報
〈平成〉は後世どのように総括されるか。天皇自らが示した象徴天皇の役割、バブル崩壊後の経済停滞、大震災、オウム事件……。昭和との因果関係も含め平成の歴史的意味を考察する。
内容説明
平成は後世どのように総括されるか。政治の劣化、オウム事件、天災と人災…。その始まりでバブル崩壊に直面し、長く続く経済停滞はこの時代に暗い影を落とす。だが、「停滞」や「閉塞」といった言葉だけで、平成は語られるものなのだろうか。昭和との因果関係をふまえ、平成という時代の深層を読む。
目次
序章 天皇の生前譲位と「災害史観」
第1章 世界史の中の「平成元年」
第2章 天皇が築いた国民との回路
第3章 政治はなぜ劣化したか
第4章 “一九九五年”という転換点
第5章 事件から見る時代の貌
第6章 胎動する歴史観の歪み
終章 平成の終焉から次代へ
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年北海道生まれ。ノンフィクション作家、評論家。2004年、一連の昭和史研究により菊池寛賞受賞。2017年『ナショナリズムの昭和』(幻戯書房)で和辻哲郎文化賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
92
昭和史研究に定評ある著者が平成の終焉を目前に、その時代を振り返る。読了後、読メのレビューを見て驚いた。意外に低いというか辛辣とも言えるような評価が多い。内容は”歴史修正主義”の人には受け入れられんだろうが、まずは妥当な歴史評価と思うのだが…。ひょっとして、著者の平成の評価は昭和の時代を経験した人間にしか腑に落ちないのかも知れない。敗戦の混乱からモーレツに働き復興を成し遂げた「上向き」の時代から、失われた10年、20年とも言われる「停滞」の時代への満たされない気持ち。それと敗戦の総括もしてない居心地の悪さ。2021/02/16
アナーキー靴下
61
お気に入りの方の感想で気になり読んでみてなるほどと。これは世代差があるとまったくピントがずれているように感じてしまう本かも(著者は1939年生まれとのこと)。史実を淡々と綴る内容ではない、そこを理解したうえで読めば、自分にはない視点で平成が見え有益か。個人的には、昭和に目を向けすぎ、経済など歩みの言及が少なすぎ、と思う。インターネットについても理解が表層的すぎる。自由経済とグローバル化、情報のユビキタス化が平成の要だと私は思っている。経済は戦争に代わる覇権争い、その経済に翻弄された世代の肌感覚として。2021/03/13
ミライ
50
平成最後ということで、平成史を総括した本書を読んでみることに。本書は天皇陛下の生前譲位に関する詳細解説から始まり、平成の時代に起きた55年体制の崩壊、小選挙区制の導入から、バブル崩壊、オウム事件、そして「関東大震災」「東日本大震災」の2つの災害まで政治・経済・人災・事件などを徹底分析し、昭和時代との因果関係をふまえ「平成」という時代を徹底解剖した一冊。「停滞」「閉塞」といった言葉で語られることの多い「平成」だが、本書最後に付属している平成年表を見てると、そんなこともないなと思った。2019/03/31
k5
35
シリーズ平成、なのですが、これは読む価値なかったな。思考のスケールが小さく、自分の体験→結論、という感じ。せめて資料を使ってくれ、と。2020/05/05
hatayan
23
昭和史に造詣の深い作家が昭和との連続で平成を回顧する一冊。 昭和が終わり平成が始まった転換点は阪神・淡路大震災とオウム事件、自社さの連立政権が動き始めた1995年とし、史実を都合良く解釈しようとする「歴史修正主義」が跋扈したことを政治の劣化と重ね合わせます。 皇室、事件、医療、死生観を切り口に、昭和とは明らかに異なる価値観が平成では生まれたと総括。 福島原発事故で当時の菅首相に東電への畏敬の念が欠けていたことが収束を遅らせたと断じていたのは意外。 平成の主な出来事や物故者をまとめた年表が充実しています。2019/04/06