内容説明
いまや「チョコレート業界の陰謀」とも称されるバレンタインデーだが、日本ではなぜ女性が男性にチョコレートを贈る日となったのか。古代、性の放蕩を目的としたヨーロッパ土着の宗教儀礼が世界習俗と化すに至ったルートをたどり、その系譜から浮かび上がる愛の宗教文化史に迫る。
目次
第1章 「愛の日」のルーツ
第2章 聖バレンタイン殉教伝説
第3章 イスラームの衝撃
第4章 ヨーロッパ伝播におけるミッシングリンク?
第5章 デフォルメと脱宗教化
第6章 愛の媒体―バレンタイン・カードからチョコレートまで
第7章 アメリカへの伝播
第8章 舞台は日本へ
終章 「愛の日」のメタモルフォーゼ
著者等紹介
浜本隆志[ハマモトタカシ]
1944年香川県生まれ。現在、関西大学文学部教授。博士(文学)。専攻はヨーロッパ文化論、比較文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
帽子を編みます
46
【2021年バレンタイン読書会】バレンタインデーとは何か?ヨーロッパ、フランス、イギリス、ドイツ中心にその歴史が書かれています。私は聖バレンタインをお祀りする行事なのかと思っていましたが、そんな単純なものではありません。キリスト教が切り捨てたエロスの部分を、聖人にかこつけて祝い発散させる要素がありました。ヨーロッパの歴史が続くので自分の気になる人の名前だけが浮き出て見えました。アメリカと日本のバレンタインも取り上げられていますが少量です。日本の贈答の習慣の考察は他文化と比較すると興味深いです。2021/02/10
yyrn
4
図書館の新刊本コーナーにあったので何となく借りて読み始めたが、古代ローマ時代からひも解いてバレンタインデーの解釈や伝わり方などをしっかりと追いかけた本だった。古代ローマのルペルカリア祭とか、バレンタイン処刑伝説とか、ヨーロッパの宮廷での恋愛沙汰とバレンタインデーの結びつきなどが詳しく紹介されていた。後半の日本人のバレンタインデーに対する受け入れ方の説明もなるほどと思えたが、ただ、コレを知ったからといって恋が成就するわけでもなく、うんちくの一つになるだけだろうが、ヘンに知ったかぶりをすると逆に嫌われるかも。2015/03/08
茶々吉(パーソナリティ千波留)
3
みのおエフエム 2023年2月1日放送の「図書館だより」で紹介するために読了。日本でバレンタインデーが定着した理由は、当時の日本における女性の地位が影響しているという。年に1回だけ、女性から男性に愛を告白して良い、というのがウケた。この本ではもう少し踏み込んで考察してあり①プレゼント商品を販売することで企業は利潤を獲得②恋愛への願望を叶える③人を繋ぐコミュニケーションの新しい回路を作り出す という、売る人、チョコを送る人、もらう人それぞれにメリットを解説。なるほどねーと思った。2023/01/31
読書メモ
2
なんとなく思い立って再読。細かい世界史の部分はかなり端折り、変遷だけを追って読み進めた。前回読み終えて印象に残っていた事柄は、イスラム教における一夫多妻制が絡んでいる事実である。更には、地理的な関係からスペインも伝播に寄与したことも記憶にあった。だが、改めて読み返してみると、バレンタインの広がりは実に偶然(機会)と精神的余裕、そして資本主義の産物だと再認識させられる。実は武士道精神も一端にあるとは普通は分からないであろう。また、アメリカンドリームと日本の価値観についても比較すると面白い。2016/11/18
Ishida the Brain Damaged
1
バレンタインデーの起源からその変化、日本への伝播まで。起源はローマ時代の豊穣祈念のお祭で、その時は乱交が付き物だったという。つまり現代日本のバレンタインデーは先祖帰りなのだwwwww2015/02/21