内容説明
ムーミンのような愛らしい姿で、ときには“人魚”と間違われることもあったジュゴン。ジュゴンはどんな海に棲み、何を食べているのか。そして、どんな恋をして、子供を育てているのだろうか。絶滅の危機にあるジュゴンの進化と生態、人とのかかわりの歴史を紹介しながら、保護のこれからを探る。
目次
第1章 ジュゴンと海(セスナから人魚を探せ;ジュゴンのいる海 ほか)
第2章 よく食べて、よく育つ―ジュゴンの食生活(発見、ジュゴンのフィーディングトレイル;ジュゴンの食べる海草 ほか)
第3章 海の暮らし、一日・一年・一生(じゅんいち君の恋;恋・繁殖 ほか)
第4章 ジュゴンの仲間と進化の歴史(ジュゴンはクジラやイルカとどう違う?;進化の道のり ほか)
第5章 人とジュゴンのかかわり(ジュゴンの名前;ジュゴンの伝説・文学 ほか)
第6章 絶滅の危機にあるジュゴン(じつはこっそり食べられている;ジュゴンの生息数とその危機 ほか)
著者等紹介
池田和子[イケダカズコ]
1972年長崎県生まれ。大分大学にて経済学を、米国・セントラルワシントン大学にて環境学を専攻。また、九州大学大学院比較社会文化学府博士前期課程においてジュゴンについて研究。理学修士。97年から財団法人自然環境研究センターに勤務し、環境省によるジュゴンの調査などにも携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ykoji
4
これはいい本。ジュゴンの生態から進化、人との関わりの歴史、保護が一冊に網羅されていて大変素晴らしい。読めば読むほど可愛くてどうしようかと思った。後半に書かれたジュゴンの現在の危機的な状況に胸が苦しくなったが、最後には一筋の希望も提示されていて少しだけ救われた。でも本当は、ジュゴンを保護するのに大義名分は必要ないよ。『これが見納め』(みすず書房)にも書いてあったけど、動物を保護する理由はただ一つ。ジュゴンがいなくなったら、世界はそれだけ貧しく、暗い、寂しい場所になってしまうからだよね。2012/08/07
志村真幸
2
著者は財団法人自然環境研究センターで、環境省のジュゴン調査などに関わってきた人物。 本書は、ジュゴンという生きものの生物学的位置づけ、生態、沖縄での分布、調査の実態などを総合的に紹介したもの。 実体験をまじえつつ分かりやすく語ってくれている。 ジュゴンの写真も多数収録。 印象深いのは、ジュゴンの進化の歴史。こんなにも歴史があり、なおかつマナティとの差がこれほどあるとは知らなかった。 また、分布域の変化の歴史も考察されており、興味深い。 2018/09/18
Koji
2
今の生息地を守ることは大切。でも元々棲んでいた場所を回復することの方がもっと大切な気がします。2016/06/24
orangepelican
2
一般向けにコンパクトにまとめられたジュゴンの本で、分かりやすく、田へいん勉強になりました。アマモ場などの海の生態系の危機を知ることができる。冒頭にカラー写真も掲載してあり、ジュゴントレンチの写真には心躍った。あんな光景を目にしたら感動するだろうなぁ・・。ただ、ボランティアじゃ自然保護はうまくいかないと思うので、地元の漁師さんたちともうまく連携しながら保護できる仕組みができるといいな、と思いました。2015/01/30
ももいろ☆モンゴリラン
2
日本で飼育されているジュゴンを拝めるのは鳥羽水族館だけ。海のムーミンに会いに行きたい2012/08/16