内容説明
政治の例外状態としての革命。民主主義の究極の手段としての革命。政治が管理技術に成り下がり、価値判断をしなくなった時代に、“正義”を振りかざすだけでいいのか。「政治にはふれないことが政治」は本当か。ポストモダン以降の西洋哲学の重要課題を論じ尽くした、これ自体が革命的な一書。
目次
序章 今日的時点―倫理的な政治(無差別になる「住みか」;悪を除去する「正義」の政治 ほか)
第1章 対象としての例外、主体化する例外―アガンベン、アルチュセール、ネグリ(「革命」が「アウシュヴィッツ」にすり替わる;哲学と政治の問われざる関係 ほか)
第2章 消え去る政治、まれ(例外的)な政治―デリダ派、アルチュセール、バディウ(政治的なものの後退;主権共同体を求める哲学 ほか)
第3章 マルチチュードの生である政治―スピノザをめぐる抗争(ドゥルーズの革命嫌い―「陽気なペシミズム」;スピノザの「物理学的」保守主義 ほか)
終章 見出された自由―フーコーと(不)可能な革命(かつてなかった反牧人革命;統治性と主体的自由―最後の難問と可能性 ほか)
著者等紹介
市田良彦[イチダヨシヒコ]
1957年京都府生まれ。京都大学経済学部卒業。神戸大学大学院国際文化学研究科グローバル文化専攻教授。専門はフランス現代思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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左手爆弾
4
いかにもフランス現代思想について述べた本らしく、次から次へとテーマが移り、バクバクとむさぼり食うように色んな人の論を引用し、結果的に何が出来上がったのかはよくわからない。実際、フランス現代政治思想はそんな匂いがするので、別に筆者だけが悪いわけじゃないだろう。だが、あえて言えば、この本で引用されている思想家に影響を与えたスピノザの思想は、この本で解説されているものと全然違う。スピノザは「マルチチュードが神への知的愛に目覚める」とか「無媒介に人びとは結びつく」などとは言ってない。非常に誤解を招く書き方。2014/11/15
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3
「「既成秩序に対する怒りと秩序の敵に対する怒りの間」で揺れる振り子が、実在する政治過程である」(156ページ。)2019/06/16
madofrapunzel
3
★★★ アルチュセール、アガンベン、シュミット、ネグリ、バディウ、フーコーの市田さんなりの位置づけともなっている。アルチュセール論はやはり難しい。しかし、バディウ論はかなり面白かった。ズーラヴィクリ?(うろ覚え笑)という哲学者がとても気になった。市田さんの新刊『存在論的政治』の助走のような本なのだろう。2014/03/12
肉欲棒太郎
2
前提知識がないと結構きつい本だと思うが、個人的には面白く読んだ。今の時代にここまで「革命」と「主体」ということにこだわって書かれる政治哲学の本というのも稀有かなと。2021/01/19
羽生沢
1
フランス現代思想における革命論をまとめたもの。本の書き方のせいもあるのだろうが、フランス人というのはどうしてこうも革命に拘るのか疑問である。フランスという国自体が、一種の革命的な運動組織とすら思えてくる。2014/11/12