内容説明
「民衆は体制の打倒を望む!」「ムバーラク、バーテル(もう駄目)!」大小様々な「革命」を経験してきたエジプトの近現代史。二〇一一年の革命は、政治の暴力と腐敗に屈しない、宗教者や一般市民による地道な抵抗運動の結実であった。アメリカとの駆け引き、パレスチナ問題への影響。アラブ世界の大国が、新たな国づくりを模索する。
目次
第1章 革命の系譜(結束する声、言葉の力;革命か、騒乱か;起点としての一九六八年;冬の時代から革命の春へ)
第2章 革命の背景(体制は打倒されたのか;革命への期待;抑圧と腐敗;腐敗のピラミッド;腐敗の歴史、抑圧の起原)
第3章 革命の行方(ナセルの七月革命の再検討;軍は革命を管理する;ムスリム同胞団の迷い;憲法改正の動き―第二共和制への道;エジプト革命とパレスチナ問題)
著者等紹介
長沢栄治[ナガサワエイジ]
1953年山梨県生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学東洋文化研究所教授。専門は近代エジプト社会経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いくら丼
6
エジプト近現代史を知りたくて手に取りました。まずは2011年、革命の熱気満ちたリアルな描写から始まり、思っていたより読みやすいと喜び――ただ、時間をかけすぎました(笑)最初は自作年表を作ったり、関連事項を調べたりしながら、かなり理解を深められてほくほく、ついでに1881年のウラービーの乱は、今年のセンター世界史Bに出たな?(笑)お陰で解けたぞ!wしかし一定以上理解した頃、ちょっと冷めてしまいww最後の方は、かなり飛ばし読みになりました……。鉄は熱いうちに打て、特に得意でない分野は一層(笑)でも、良かった!2022/01/23
村山誓一
1
2012年1月出版の、革命後の不安定さの中に権威主義体制を脱して市民社会が生まれるとの期待が漲る感覚が広く共有されていた頃の記述。ここでは、実際エジプトがその後辿った逆コースも一つのあり得るシナリオとして挙げられているが、可能性は低いと評価されている。答えを知ってから読んでいる訳だが、当時の感覚としては妥当なものだと思う。2022/09/18
陽香
1
201201132017/07/16
かずら
1
『アラブの春』で体制を打倒したエジプト革命について。内容がなかなか頭に入ってこなかった。著者の意図している方向性がわからず、戸惑う本だった。その中で面白かったのは、革命で使われた言葉について。アラビア語の微妙な使い方の違いが、興味深かった。韻を踏むシュプレヒコールや、標語など、エジプト人は詩的なんだなと感じた。2013/02/23
Mana
1
思ってたよりも内容が充実していて読み応えがあった。エジプトの近代史をよく知らないので少し難しかった。今回の革命に至るまでのエジプトの革命史がとても詳しく解説されている。2012/06/02