平凡社新書
新聞再生―コミュニティからの挑戦

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  • サイズ 新書判/ページ数 210p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582854466
  • NDC分類 070.21
  • Cコード C0200

内容説明

「新聞の危機」が唱えられて久しい。しかし巷で議論されているそれは、たんに「新聞業界の危機」に過ぎないのではないか?大手紙の視点からは見過ごされてきた周縁的な場所、そこにこそ、「新聞なるもの」の本質と可能性が見いだされるのではないか?コミュニティからの挑戦と挫折、そして再生。地方紙の試みから新聞の可能性を探る。

目次

序章 新聞とはなにか(『新聞社』のセンセーション;新聞危機説、じつは「業界」危機説;新聞という言葉のルーツ;新聞と新聞紙;社会の意識、社会の現象;周縁から見つめる〈新聞〉なるもの)
第1章 新聞という「場」を再生させる―旧鹿児島新報社OBたちの闘い(廃刊の光景;最後の紙面;「位一県一紙」に逆戻り;発言する市民;地域密着;「だれでも記者」;「みんなでネット鹿児島」って?;当事者の発言、そしてパブリック非営利組織による復刊の可能性;時間というもうひとつの敵)
第2章 コミュニティに回路を開く―神奈川新聞社カナロコ編集部(首都圏の地方紙;朝日新聞社のグループ企業;ニュースになった「カナロコ」;新聞とブログ;言論空間の広がり;周縁だからこそ自問;ふつうの暮らし、ふつうの感覚;ブログ「炎上」を肥やしに;カナロコ効果と課題;ニュースをアグリゲートする新規事業)
第3章 “新聞”を創るということ―『みんなの滋賀新聞』の挑戦と挫折(四半世紀以上も地元新聞を持たない県民;新聞紙を必要とした地元経済界;徹底したマーケティングリサーチ;「ジャーナリズム」よりも社会基盤;新しい新聞のかたち;創刊前のいらだち;厚かった「業界」の壁;新聞の原点はどこに)
第4章 新聞を救う(学問と現場をつなぐ知;産業論が盛んな理由;困難に直面する業界・産業;〈新聞〉の淵源;近代新聞の正統性を示す「公共圏」;「新聞」再生は「社会空間」の再生;パブリックジャーナリズムという社会運動;危機的な状況のなかで;鹿児島、神奈川、滋賀の事例を再考する;イデオロギーと人間観;再生の芽、いたるところに;熟議の資源づくり)

著者等紹介

畑仲哲雄[ハタナカテツオ]
1961年大阪市生まれ。関西大学法学部卒業。毎日新聞社、日経ホーム出版社を経て、91年より共同通信社に勤務。現在、編集局デジタル編集部部長職。勤務と並行して2004年、東京大学大学院情報学環学際情報学府入学。現在、博士課程に在籍。研究テーマはマスメディア・ジャーナリズム(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおかみ

3
これまでにも、新聞業界の斜陽産業としての実態にメスを入れたり、各国の事例に言及したりした本は何冊も読んできた。また、そうした特集記事を組んだ雑誌も毎月のように発刊されており、手に取って読むことは多い。本書の特異な点は、鹿児島新報、神奈川新聞、みんなの滋賀新聞といった「周縁」に位置する新聞社(すなわち、普段俎上に載ることの少ない地方新聞社)の取り組みにスポットライトを当て、本来のジャーナリズムの意義を問うたことにある。新聞紙という媒体にこだわらず、報道機関のあるべき姿をひたむきに追い求めた本は少ないと思う。2009/05/04

たべ

0
新聞は何のために存在するのか。 購読といった新聞産業としての新聞にとどまらず、議論を引き起こす場としての新聞、県民意識を高めるための新聞など、多岐にわたる新聞の機能を述べている。 単に読むだけの新聞ではないのだと筆者は強く主張していると感じた。2017/01/21

Mao Watanabe

0
新聞に関する本といえば全国紙を扱うものが多い中、この本では珍しく地方紙に焦点をあてている。なぜ地方に新聞が必要なのか、新聞は何ができるのか、など、新聞の可能性を明らかにしようとした点は興味深かった。特に、県紙のない滋賀県でおきた日刊紙創刊の動きについての事例はその必要性と業界の壁をわかりやすく示していると思う。一方で最後の章で議論が散漫になり、結局何を主張したかったの…?となってしまったのが残念。全体的に考察がもうひとつ、という印象だった。2015/01/15

ふね

0
地方紙の取組みを中心にこれからの世の中の新聞のあり方について述べた本。地方紙の事例が取り上げられているのは、体力がない中小の新聞社から先に新しい取り組みをする必要に迫られたからでしょう。「新聞離れ」が叫ばれるなか、新聞自体がどうあるべきなのか。新聞に少し携わる者にとって興味深い内容でした。

EmoEmo

0
単なる新聞業界の批判ではなく、そもそも新聞とは? との視点から、意欲的な取組に挑んだみっつの地方紙の事例を紹介。これまで新聞の存在意義とされてきたジャーナリズムの概念や客観性が、もはや市民側にも馴染まなくなっているのではないかとの指摘には、マスゴミ呼ばわりなどメディア不信の強い今日では共感できる。課題山積とはいえ近代新聞が富裕市民による公共圏を形成したように、市民記者やパブリックジャーナリズムといった双方向のやりとりが地域の精神的紐帯や公共圏の再構築に繋がれば市民参画や協働の面からも利点があると思う。2013/05/06

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