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平凡社新書
南京事件論争史―日本人は史実をどう認識してきたか

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  • サイズ 新書判/ページ数 293p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582854039
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C0221

内容説明

一九三七年一二月、南京市を占領した日本軍は、敗残・投降した中国軍兵士と捕虜、一般市民を殺戮・暴行し、おびただしい数の犠牲者を出した。この「南京事件」は当時の資料からもわかる明白な史実であるにもかかわらず、日本では否定派の存在によって「論争」がつづけられてきた。事件発生時から現在までの経過を丹念にたどることで、否定派の論拠の問題点とトリックを衝き、「論争」を生む日本人の歴史認識を問う。

目次

序章 世界に注目される日本
第1章 「論争」前史
第2章 東京裁判―「論争」の原点
第3章 一九七〇年代―「論争」の発端
第4章 一九八〇年代―「論争」の本格化
第5章 一九九〇年代前半―「論争」の結着
第6章 一九九〇年代後半から現在―「論争」の変質
終章 真の学問的論争を願って

著者等紹介

笠原十九司[カサハラトクシ]
1944年群馬県生まれ。東京教育大学大学院修士課程中退。現在、都留文科大学教授。専門は、中国近現代史、東アジア近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

内島菫

31
本書を通じて、日本人の特徴と今の日本がどうなりつつあるのかということの一端が見えてくる。ウチとソトを使い分ける日本人のダブルスタンダードには、本当はウチ側の視点という一つの立場しかない。そのことに無自覚であるとき、日本人は日本教としかいえないものに洗脳されているということができる。自虐史観という言葉は自民党右派やその周辺による政治的キャンペーン用語であり、私たちに「日本人であること=集団であること(日本人ならみんな一緒)」という構図を押し付け、私たちが「個人であること=自分で調べ考えること」を阻んでいる。2016/10/07

松本直哉

26
モグラ叩きのモグラのように次々に現れる虐殺否定説を丁寧に論拠を挙げて一つずつ論駁する誠実さに感銘を受けると同時に否定説の粗雑さが浮き彫りになる。司令官の陣中日記を都合のいいように改竄するなど自ら墓穴を掘っている。否定説の言い分で一番嫌なのは「戦場での強姦は世界共通だから責められる筋合いはない」というもの。校則違反を指摘された子どもが「僕だけじゃないもん」と抗弁するのと全く同じ論理。そこまでして皇軍を美化するしようとする史観は「自己陶酔史観」とでもいうべきか2017/01/29

おたま

22
南京事件(南京大虐殺)そのものの歴史的記述というより、南京事件が、戦後どのように語られたかの歴史。南京事件否定論が、戦後様々な形で登場する。南京事件は「まぼろし」であったというものから、大虐殺と呼ぶには少人数であったというものまで、様々なバリエーションが登場してきた。それらは背後に政治的な意図をもち、ジャーナリズムの場で盛んに語られてきた(現在も)。だが、歴史学的にはすでに南京事件は決着がついており、大虐殺は行われたというのが定説になっている。否定派に対して、著者は一つ一つ根拠に基づいて論破していく。2021/06/27

coolflat

19
87頁。東京裁判における弁護側の主張に現在に至る南京事件否定論の原型はほぼ出そろっているといえる。①伝聞証拠説、②中国兵・中国人犯行説、③便衣兵・便衣隊潜伏説、④埋葬史料うさんくさい説、⑤南京人口20万人説、⑥戦争につきもの説、⑦略奪でなく徴発・調達説、⑧大量強姦否定説、⑨中国の宣伝謀略説、⑩中国とアメリカの情報戦略説。確認しておきたいのは、これらが東京裁判の法廷において、その事実性、信憑性を全て否定された主張であることである。にもかかわらず現在も同様な否定論が繰り返し主張されている。 2017/03/10

tellme0112

18
反論しきれなくなるとでっち上げだというって、最近国会で耳にする話だな。90年代後半からは、大学生のころに勉強しながら、否定派に圧倒されて孤独で疲弊していった時のことを思い出した。もっと、必死に書き残した書籍を信頼して良かったのにな…。証言つぶしの話、本当に戦争は終わっていたのか?中国人への差別、戦争への始まり。南京事件はなぜ起きたか、もっと深く知らねばと思った。2017/02/22

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