内容説明
近代日本をリードした啓蒙思想家であり、今でも「偉人」として評価される福沢諭吉。同時に、彼は拝金主義者、ほら吹き、変節漢といった人格的批判も多く受けた人物だった。下級武士から幕臣、啓蒙思想家へと異例の出世をした福沢の真の姿はいかなるものだったのか。福沢に対する人格的批判の当否を検証し、「成り上がり者」福沢諭吉の心性を探る。
目次
序章 福沢諭吉の知られざる一面
第1章 ペル氏築城書盗写事件
第2章 下級武士・福沢諭吉
第3章 苦学と逸話
第4章 慶応三年の謹慎事件
第5章 明治維新と慶応義塾
第6章 学商・福沢諭吉
第7章 商業立国とマンモニズム
第8章 脱亜の代償
終章 福沢諭吉論のために
著者等紹介
礫川全次[コイシカワゼンジ]
1949年生まれ。ノンフィクションライター。歴史民俗学研究会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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現在葬送のフリーレンのコスプレ中・寺「葬送のフリーレンて何や!」
64
面白かった。先日、雁屋哲&シュガー佐藤の漫画『まさかの福澤諭吉』を読んで刺激され、もう少し諭吉に関する本が読みたくなったのだが、これはうってつけであった。この礫川全次の著書はかねてから一度読んでみたかった。読メで検索してみて欲しい。ワクワクするような本をたくさん書いている。本書は福沢諭吉の「品格」に纏わる人物論である。下級武士という身分故に武士道的モラルが乏しい拝金主義者。諭吉に比べたら坂本龍馬なんてまだ不自由かも知れない。本書での小悪党的な諭吉を著者は単純に否定はしない。むしろそのバイタリティが圧巻だ。2017/08/08
おらひらお
2
2006年初版。諭吉びいきによる諭吉論が多い中、比較的距離をおいた立場から見た諭吉論。人の評価は各者それぞれでよいが、擁護せざるを得ない立場の研究者の論は粗く、みっともない。このような人たちの講義は受けたくないな~。おそらく、入学できませんが・・・。2011/05/28
denz
1
「福沢惚れ」しない距離をとった作品。「忠臣」福沢の件も。2010/09/22
叔嗣(しゅくし)
0
福沢諭吉という人物をを批判的に読み解いた一冊。贔屓目に見た福沢諭吉を紹介した本が多い中では斬新な書籍でした。ただ、批判的に見るために書かれた本なので、少し批判が先行しすぎで「批判されるべき人物なので結果や成果がよくても駄目」としてしまう部分もあります。2013/04/22