出版社内容情報
ヘーゲルは、今も”使える”思想家である。経済格差にどう対応するか、福祉はどうあるべきか──。ヘーゲルの思考に学びつつ、アクチュアルな公共哲学の可能性を探る。
内容説明
きわめて難解な体系哲学者、あるいはプロイセン公認の国家主義者。こうしたヘーゲル像は大きく変わりつつある。家族や市民社会の働き、経済格差と福祉の問題など、いま根本から問い直されている問題にとりくんだ先駆的な「公共哲学者」としての姿がそれである。ヘーゲルは、いまこそ“使える”哲学者である!その思想を通してヴィヴィッドな問題を解きほぐす。
目次
第1章 ヘーゲルの生涯と思想
第2章 「家族」と暮らす
第3章 「市民社会」に働く
第4章 「国家」を創る
第5章 「福祉」が活きる
第6章 「グローカル」世界を生きる
著者等紹介
福吉勝男[フクヨシマサオ]
1943年京都府生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士課程修了。学術博士。名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授。専門は社会倫理学、市民社会思想論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スズツキ
5
この本の書評は見かけたことないが、かなり良い出来なのではないかと思う。偉大な哲学者としての認識の反面、国家主義者として敵視されることの多いヘーゲルの特に人間観のつながりを抽出して、社会を考えるという試み。同じ文から全く違う解釈が生まれるその理由の分析なども面白いし、ヘーゲル哲学の問題点なども隠さずに非難しているのも良い。2016/02/25
うえ
4
「国民における意識は「自由な自我の無限性の意識」に依存している。そしてこの国民のあり方は最高の形式となり、これを具体的に表現しているとされる民主制が高く評価される。しかし、ヘーゲルは民主制には同時に次のような欠点があるというー「民主制は、組織づけられた国家においては存立しえない」。その理由はこうだ。民主制が持つ先の利点がそのまま欠点になり、国民一人ひとりが「自由な自我の無限性の意識」に依存しているからとされる。すなわち、各人がすべて自分の自由しか考えていないからだ」2017/06/14
tjZero
2
”「家族」から「市民社会」への移行において最も重要な課題は、自由競争を原理とした市民社会で個人の自立を維持しつつ、いかにして生計と福祉の確保を行なうかということ”(P132)。矛盾を肯定的に捉えて高次の段階へのステップとする弁証法の考え方が、社会をデザインする上でも活かされるべきなのがよく分かった。2020/01/17
オランジーナ@
1
よくわからなかった2022/01/13