平凡社新書
パスカル―痛みとともに生きる

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  • サイズ 新書判/ページ数 213p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784582851632
  • NDC分類 135.2
  • Cコード C0210

内容説明

「人間は一本の葦にすぎない。自然の中でもいちばん弱いものだ。だが、それは考える葦である」―パスカルの『パンセ』の一節である。パスカルは物理学、数学の分野で輝かしい成果を上げる一方、二〇年間にわたる慢性的な病いによる激しい苦痛の中で、人間の尊厳とは何か、生きるとは何かを見つめていた。彼の思想と生涯を、“痛みと死と希望”という視点でとらえ直し、混沌としたこの時代に新たな方向性を指し示す。

目次

第1部 どういう人だったのか―人間パスカルの生涯(科学者の誕生;この世の人として;信仰者として)
第2部 それはどんな本だったのか―『パンセ』の世界像(人間の悲惨について;幸福の根拠について)
第3部 「今・ここで」、それをわたしたちが読む意味―パスカルの『パンセ』と現代

著者等紹介

田辺保[タナベタモツ]
1930年京都府生まれ。岡山大学・大阪市立大学名誉教授。大阪外国語大学卒業、京都大学大学院フランス文学専攻博士課程修了。文学博士。パリ大学留学後、岡山大学、大阪市立大学、神戸海星女子学院大学等の教授を歴任
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

岡本正行

24
かねてから読みたいと思っていた本、とても敷居が高い。ヨーロッパの哲学、ほんの少しでも理解するには、キリスト教はもちろん、深い哲学的基礎の考え方ができていなくてはとおもっていた。この本、それはそうには違いないが、その辺りをやさしく、しかもわかりやすく、思いを込めて書いてくれている。「人間は考える葦である。」、高校生レベルでも、そのくらいは知っていただけに、超哲学の大家だった。本物の「パンセ」を読もう。夢想であるけれども、いっそフランス語も齧ってみたいと思う。フランスは、観光で一度、行った。いろいろな思い。2023/08/19

さえきかずひこ

13
本書副題"痛みとともに生きる"とは、比喩ではない。実際にパスカルは体が弱く、終生からだの痛みから逃れられなかった。その痛みは、心をも冒した。そんな状態が続く中、哲学・数学・物理学の領域で人類史に残る業績を残した生涯を知るだけで、唖然とさせられた。後半は『パンセ』の読み解きに入っていく。著者のテクストへの全身全霊を尽くしての寄り添い方に驚きを禁じ得なかった。「『パンセ』を読まねばならん!」と思わせる点で本書はパスカル入門として最適ではないだろうか。彼を40年間研究してきた、田辺氏の底力が凝縮されている一冊。2018/07/07

踊る猫

7
パスカル『パンセ』に初めて挑んで玉砕したあの苦い思い出が甦る。著者はパスカルの生涯を簡潔に辿り直し、『パンセ』がどのような本なのかを極めて平たく、主にキリスト教関連の知識を参照しながら整理してみせる。「新書」に求められる水準をクリアしているその手つきは極めてスマート。パスカルはキリスト教という「特殊」を通じてあらゆる宗教に通じる「普遍」を探求し、そこにおいてシモーヌ・ヴェイユと通じるものがあるという仮説を展開する。田辺保は『重力と恩寵』の翻訳者でもあることを迂闊にも読後になって気づいてしまった。浅学なので2016/07/24

秋津

7
シモーヌ・ヴェイユのことがかなりたくさん書かれていて、ちょっと驚いた。 パンセに関しては、ラフュマ版とブランシュヴィク版のことで混乱して、ちょっと戸惑ったが、今私の手元にあるのがラフュマ版をブランシュヴィク版の順に並べなおしたものということを知り、納得。B版できちんと読んでみようと思う。2014/12/01

燐寸法師(Twitter @matchmonk)

3
題名に惹かれて購入。人間の悲惨さを直視した冷徹なまなざしは、キリストにいかなる救いを見出したのか。クリスチャンの遠い先達として、キリスト教弁証家として、最後に哲学者としてのパスカルに学ぶ。さしあたり、「病の善用を神に求める祈り」を全文読みたい。2022/08/03

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