出版社内容情報
小劇場演劇の旗手として出発し、高度成長期の小市民社会の悲喜劇を独特な舞台空間に創造し続けた別役実が、愛する東京の街と、昭和という時代に捧げる初の自伝的エッセイ集。
内容説明
昭和32年春。私の「東京放浪」の第一歩は、その日から始まった。劇作家・別役実の自伝的エッセイ集。
目次
第1章 私の東京放浪記(上野;渋谷 ほか)
第2章 東京出歩き街歩き(池袋;信濃町 ほか)
第3章 今日も電車であっちこっち(地下鉄銀座線;井の頭線 ほか)
第4章 私と東京と昭和(私にとっての東京;私にとっての昭和 ほか)
著者等紹介
別役実[ベツヤクミノル]
昭和12年、旧満州に生まれる。早稲田大学政経学部中退。『マッチ売りの少女』『赤い鳥の居る風景』で岸田戯曲賞、『街と飛行船』『不思議の国のアリス』で紀伊國屋演劇賞受賞。電信柱とベンチだけの舞台で小市民の悲喜劇が展開される独特な演劇空間を確立する。『諸国を遍歴する二人の騎士の物語』で読売文学賞、『ジョバンニの父への旅』で芸術選奨文部大臣賞、『やってきたゴドー』で紀伊國屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞受賞。平成20年度に朝日賞、24年に読売演劇大賞芸術栄養賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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踊る猫
32
別役実のエッセイは好きだ。きっと彼の書く透明感あふれる、ふざけているようで根に優しさと確かな観察眼が感じられる文章に惹かれるのだろう。東京は私も住んでいたことのある土地だが、ここまで丹念/丁寧に暮らしていたわけではないので彼に倣って散歩を楽しむとか日銭を稼ぐとかして都会ぐらしを味わってもよかったかなと憧れを抱く。彼とて東京っ子というわけではないみたいだが(そう思えば彼の書く文章からは確かに東京っ子特有の清潔さはいい意味で感じられない)、日々を丁寧に生きてきた生活者/小市民の誇り/矜持を感じて心地よく読める2023/02/05
gokuri
6
かつてよく戯曲をよんでいた著者のエッセイ。4年前の著作で75歳での出版。昭和は遠くなったという懐古的な感慨をもちつつ楽しく読了。前半の東京の各地風景、後段の著者の戯曲の数々、どちらもしんみりと心地よい。2017/08/10
アルクシ・ガイ
5
東京、行きたいなあ。再三「来ないでください」と言われているのだが。それでも行きたい。2021/04/24
bb
5
言葉の選び方がとても正確。生粋の東京人だけでなく、東京生まれで地方に出た人や地方から出てきて東京に暮らす人にとっても魅力のある内容。ともすると寅さんや両津のような浅草周辺の(しかも観光客向けの、表面的な)イメージで全てくくられがちかもしれないが、それぞれの街独自の特色と、東京全体としての捉えどころのなさ、そしてそれらの変化の空気がつぶさに捉えられている。50年暮らしてきて、なくなってしまった喫茶店、避けるようになった上り坂と、散見される著者自身の老いの認識が、何とも言えない気分になる。2013/05/18
takao
2
ふむ2023/01/16