内容説明
膨大な資料から浮かび上がる原爆開発計画の真実。
目次
真空管ラジオ少年の情熱
巨大な危機が近づいてくる
原爆製造はほんとうに可能か
「これは博打だ」―責任の所在不明で着手される原爆開発
マンハッタン計画の誕生
パワー・ポリティクス
ルーズベルトの死
民主主義体制下の秘密計画
原爆投下
原爆の補償装置
自由世界の守護神
科学官僚のたそがれ
超保守主義のイデオローグ
科学技術を超えて
著者等紹介
歌田明弘[ウタダアキヒロ]
1958年生まれ。東京大学文学部卒。青土社『現代思想』編集部、『ユリイカ』編集長をへて、1993年よりフリーランス。アメリカ議会図書館の資料の編集などをする一方、メディアや科学技術をテーマにした執筆を中心に活躍
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
渡邊利道
3
科学者ヴァニーヴァー・ブッシュの伝記を中心に、20世紀中葉の米の科学政策、軍産複合体による科学研究体制の成立を描く。科学技術は自由主義を守るために存分に力を発揮しなければならないという強い意志が、多くの政治家や軍人、科学者を動かして原爆のみならず基礎研究を含めた科学の発展と国家を結びつける。道の人物だったが、研究の自由を重んじ、基礎研究に多額の投資を求めたあたりすごいなあと感じる。あと官僚には専門知識が必要なのだなーとも。イギリスとアメリカとロシア(ソビエト)の複雑な騙し合い探り合い関係も面白かった。2018/11/05
takao
1
ブッシュが推し進めた科学による強いアメリカ2021/05/09
Kuramata Yasuhiko
0
原爆開発の現場ではなく運営側、マンハッタン計画の生みの親とも言える、バニーバー・ブッシュについての一冊。軍人ではなく技術者。科学技術は人のために役立てるという信念を持ち、その為には政治的駆け引きも必要と割り切って動いた。彼のしたこととその結果は大戦下という状況において不可避なことだったようにも思えるが、モヤモヤも残る。兵器は開発した以上必ず使うものだと考える軍側、とにかく作った開発者、両者の間に立っていた者の責任は大きい。2012/08/15