内容説明
遍歴漂泊する職人・芸能民・勧進聖など、中世に生きた「遊手浮食の輩」と呼ばれる人々に注目し、歴史の表舞台に登場しないこの無名の人々のとり結ぶ、世俗の人間関係とは「無縁」な関係を追究する。「無主」「無縁」の原理を担った人々の力こそ、真に歴史を動かしてきた弱者の力であるという著者の主張は、従来の日本史像の一面体を拒否するとともに、人類共同体のあり方について、すぐれて普遍的な問題を提起する。
目次
「エンガチョ」
江戸時代の縁切寺
若狭の駈込寺―万徳寺の寺法
周防の「無縁所」
京の「無縁所」
無縁所と氏寺
公界所と公界者
自治都市
一揆と惣
十楽の津と楽市楽座
無縁・公界・楽
山林
市と宿
墓所と禅律僧・時衆
関渡津泊、橋と勧進上人
倉庫、金融と聖
遍歴する「職人」
女性の無縁性
寺社と「不入」
「アジール」としての家
「自由」な平民
未開社会のアジール
人類と「無縁」の原理
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
64
30年余り前、読んだっけ。中沢新一の本を読んでたら、久々目にした。今も読まれてる? 古典の域? 「遍歴漂泊する職人・芸能民・勧進聖など、中世に生きた「遊手浮食の輩」と呼ばれる人々に注目し、歴史の表舞台に登場しないこの無名の人々のとり結ぶ、世俗の人間関係とは「無縁」な関係を追究する。(以下略)」
Hiroki Nishizumi
1
少し読みにくいところもあるが、アジールなど知らない概念が出てくるので、何かしら未知への道が伸びてくる気がした。2018/07/06
jima_1965
1
今を去ること20年以上前に出会った本であり、古文書の世界から見えてくる豊穣な世界観を教えてもらったもの。歴史学、図像学、社会学、人類学にスパークしたようにのめり込んだもろものの一つ。ただし、本書で述べられていることを教条化するのは、著者は望んでいない意味も20年たった今だからこそ分かるし、亡くなった著者を祭り上げようとする輩には眉に唾して対さねばならない。
moni
1
日本の中世世界における様々な無縁のかたちを知ることができた。無縁が自由や平和と結びついていたという点にはなるほどと思わされたし、これが権力者によってどのようにとりこまれていったかという、これまで意識していなかった点を知ることができ、勉強になった。2012/03/02
俊太郎
0
この人の書きぶりは全然スマートではないし、自身の発想を自身がうまく咀嚼できていないような部分も感じるのだけれど、とにかく"強い"。2017/07/22
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- 物語文学史論 (新訂版)