内容説明
フランスの宝石商シャルダンが、十七世紀ペルシアの各地を旅し、その見聞を記した稀有の記録。当地の地勢・産物・生活習慣に至るまで、正確かつ愛情に満ちた観察眼が光る。本邦初訳。
目次
ペルシア概観
気候と大気
国土
木・植物・麻薬
果物
花
金属・鉱物・宝石
家畜・野獣
家禽・野鳥・狩
魚〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yuri
12
借本。17世紀の宝石商が記した異国見聞録。当時の文化だったり生活が知れて興味深い。多少の偏見や固定概念はあるかもしれないけど、色んな国とも比較しつつ、自国でない国をこれだけの熱量を持って書けるのはすごいなーと思います。2022/03/28
roughfractus02
7
17世紀フランス人宝石商が貿易相手のペルシアの人々について見聞を記した本書だが、単なる異邦の探訪記ではないように思える。同時代のフマニスト、ラ・ブリュイエール『カラクテール』同様、その記述は他者から得た知識を排して自らの感覚を重視し、実際会った人々の印象からその性格(カラクテール)を寛容さ、礼節、美しさ、浪費癖、怠惰さ、女好き等と列挙して、自らの体が感じ取る現地の気候や地勢とそれらを関連づけ、西洋の道徳や習慣を外から見直す契機を与える。一方その背景には、東インド会社の独占的な東洋貿易のネットワークがある。2022/10/03
maple
1
著者がペルシアの食物、家具、ひいては宗教までも気候にその特徴の原因を求めるという姿勢は、現代的な地理学に通じるように感じた(それがあまりに徹底していて、気候のせいではないのではないかと思うこともあるが)。 細々したことーー米がパンより爽やかだとか、座る際につま先を見せないだとか、ムスリムでもぶどう酒を嗜むだとかーーが細々と面白い。2017/05/01
宵子
1
フランスの宝石商の著者が17世紀のペルシアについて書いたもの。ただし、ここで言うペルシアは現在のイラン以外にジョージアやインダス川河口辺りまで含むので、注意。2016/04/26