感想・レビュー
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崩紫サロメ
17
最終巻。崩壊に向かう太平天国。妻の死、忠王との別れ、そして忠王に対しての自らの貢献が語られるが、自身の英雄化について訳者は19世紀の冒険家に共通する特徴であると指摘する。忠王の英明さ、忠誠無比に対し、その提言を撥ね付けた天王洪秀全に対し「高貴・狂信性・軽率」のすべてを含むと批判する。本書の結びの段階で忠王の処刑については知らされるが、不審なところが多いとし、最後は太平天国の再起を信じ、第2コリント4:8-9(四方から苦しめられても行き詰まらず、途方に暮れても失望せず……)で結ぶ。2021/09/24