感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
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第3巻。寧波・上海戦線の話となるが、著者の実際の体験ではなく、太平天国に対するイギリスの攻撃がいかに不当で残虐なものであるかを、イギリスの高官や宣教師などの公文書や書簡を紹介する形で展開する。第19章では自身の南京での婚礼の話など、実体験に基づく話となる。彼は前章までで述べたイギリス軍・清軍の残虐さと対比する形で忠王李秀成の公正さを挙げる。しかし太平天国の制度自体は、著者が言っている程寛大なものではなかったという点、李秀成自身の供述が原注で紹介されている。見えなかったのか見たくなかったのか。2021/09/21