感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
49
ペルシア文学を代表する詩人の一人、サアディーの訓話集。訓育や人との交際についてなどが短い物語と詩で訓戒されています。この訓話の花園の薔薇は決して絢爛豪華ではないですが、可憐で機知に富んでいて、耳の痛い忠言も甘い香りに包んで差し出すので、つい微笑んでしまいます。「富は人世の愉楽のためのもので、人生は富を蓄えんがためのものではない」や「善意を交えた嘘偽は禍を醸しだす真実に勝る」など、時や文化を越えて心に響く訓戒が諧謔も混じえた美しい言葉で提示されていて、詩人の狙いのとおり今日もうつろわぬ花々を堪能しました。2018/07/10
春ドーナツ
14
世の中には平凡社が刊行している「東洋文庫」なるものが流通しているらしい。薄々知っていたけれど、丸善、紀伊國屋書店、中央図書館なぞで探したけれど、これまで実物を拝んだことがなかった。さてさて。大きさは文庫本と単行本の中庸である。ハードカバー製本で緑茶色の布があしらってある。ふむ。***本書は、13世紀のペルシア托鉢僧が30年に及ぶ諸国遍歴から帰還し、古希を迎えた時期に執筆された「徒然草」系のサンドイッチ本だ(散文+詩+散文)。一説によると120歳で天寿を全うしたという。レジェンドですね。「頑張ろう」と思う。2018/06/12
la filla
2
サアディーの教養本。訳も素晴らしく、一つ一つの訓戒に詩的な要素が含まれ、どこか幻想的で耽美。とくに美しかったのは、恋愛についての記述。~であろう!、~なのだから!という強い言い切りの形が生きて、千夜一夜物語のように甘かった。世知に長けたアドヴァイスもあって、世界観に問題が無かったら、楽しめる内容だと思います。とにかく言葉が美しい。2017/04/20
いのふみ
1
中東文学は『ルバイヤート』『アラビアンナイト』のようにたおやかという印象があったが、こういう強い表現もあるのだ。2020/08/07