内容説明
脊椎に出来た「良性」の腫瘍によって神経系が徐々に破壊されるという死に至る病に冒された人類学者が自分自身や家族、周囲の社会をフィールドワークした感動のドキュメント。オリバー・サックスやレヴィ=ストロースも激賞。
目次
プロローグ―夜の音
第1部 出発(徴候、そして症候;エントロピーへの道;帰還)
第2部 からだ、自己、そして社会(損なわれた自己;出会い;自立への闘い)
第3部 生きるということ(深まる沈黙;愛と依存;生という不治の病い)
著者等紹介
マーフィー,ロバート・F.[マーフィー,ロバートF.][Murphy,Robert F.]
1924~1990。1954年にコロンビア大学でPh.D.を取得。イリノイ大学やカリフォルニア大学バークレー校などを経て、63年コロンビア大学の人類学部教授。69年から72年まで同学部学部長
辻信一[ツジシンイチ]
文化人類学者、環境運動家。1952年生まれ。明治学院大学国際学部教員。「スロー」というコンセプトを軸に環境=文化運動を進める。1999年、NGO「ナマケモノ倶楽部」を設立、世話人を務める。「スロー」「カフェスロー」「スローウォーター・カフェ」「ゆっくり堂」などの会社設立に参加、環境共生型ビジネスに取り組むほか、数々のNPO、NGOにも参加している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ステビア
17
人類学者が自らの身に降りかかった身体障害という事態について考察する。名著。2020/10/25
てぬてぬ
3
第2部の身障者について、社会の差別意識と身障者自身の被差別意識について分析した内容が面白い。 死に至る病にかかったロバートマーフィーと、死を間近で見続けたVEフランクル、死を挟んで向かい合う同時代の学者の出した結論が、「生はそれ自体が目的であり意味がある」と一致しているのが何だか感慨深かった。2019/02/15
JJ
2
身体が不自由になっていく中でも、自分自身を研究する生き様が圧巻。いつどんな時も好奇心の働きは止めてはいけないと再認識した。2019/09/09
萩乃庵@天然石と占い
1
自己の身体をフィールドにし、そこに起きる症状を文化人類学的に観察していく。その観察の目は冷静な学者としての視線、そして患者としての視線が同居している。「観察者は観察対象をいかに記述するか」はフィールドワークにおいて重要な問題として議論されてきたが、この本は観察者/被観察者の視線を同時に体験することができる。
山田
1
人類学者向けといった感があるが、序文は小説・エッセイとしても良きものだと思う。面白いよ。2015/06/16