平凡社ライブラリー
レヴィ=ストロース講義

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  • サイズ 文庫判/ページ数 259p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784582765434
  • NDC分類 389.04
  • Cコード C0339

内容説明

20世紀最良の知的遺産たる構造主義は、21世紀世界の難問にいかに答えるのか。構造主義を提唱した文化人類学の泰斗が、性・開発・神話的思考など、アクチュアルなキーワードを通じて、第三のユマニスムとしての人類学の新しい役割を説く。日本文化への鋭い洞察を示す、一九八六年、東京での三回の講演と質疑応答を収録。

目次

第1講 西洋文明至上主義の終焉―人類学の役割(人類の歴史と人類学;人類学とは何か;客観性と全体性を求めて ほか)
第2講 現代の三つの問題―性・開発・神話的思考(共通言語としての親族関係;「未開社会」の“人工受精”;“低開発”とは何か ほか)
第3講 文化の多様性の認識へ―日本から学ぶもの(人種決定論の誤謬;文化が遺伝を決定する;累積的社会・停滞的社会 ほか)

著者等紹介

レヴィ=ストロース,クロード[レヴィストロース,クロード][L´evi‐Strauss,Claude]
1908‐。ブリュッセル生まれ。フランスの文化人類学者。パリ大学法学部卒業後、リセ(高等中学校)教員を経てブラジル、アメリカで民族学を研究、49年帰国し、パリの人類博物館、高等研究院、コレージュ・ド・フランスなどで教育と研究に従事。社会人類学研究所を創設。画期的労作『親族の基本構造』などで文化の厳密な構造分析方法たる構造主義の旗手となる

川田順造[カワダジュンゾウ]
1934年東京都生まれ。文化人類学者。東京大学教養学部(文化人類学)卒業、同大学院社会学研究科博士課程修了。パリ第5大学で博士号取得。東京外国語大学、広島市立大学教授を経て、神奈川大学教授

渡辺公三[ワタナベコウゾウ]
1949年東京都生まれ。文化人類学者。東京大学教養学部フランス科卒業、同大学院社会学研究科博士課程修了。国立音楽大学助教授を経て、立命館大学教授
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

56
78才の来日講演。そうだったのかと唸った。私たち西欧近代を根源的に相対化する視角を提示する。未開から文明へという単線的な進歩観に対し、「人類の歴史の99%に当たる期間」の社会に学べという主張に改めて耳を傾けたい。この99%のことをどれだけ知っているのか。人類学は未開社会という「完了した実験の結果」からその残滓を辛うじて掬っているだけだが、農耕は退歩(食物の種類が少なくなり栄養素に乏しい)、工業文明は画一化により創造性を失いつつあることが判る。人類の進歩、今ある文明は偶然の結果であるとする著者の言は重い。 2015/11/30

ころこ

31
相対主義や構成主義にみえる構造主義の代表格が、これだけ明け透けにイデオロギーを出すことが驚きでした。86年に来日して行った講演なので、リップサービスも多分に含まれているでしょう。本書全体の雰囲気は、講演者の「未開文化」日本に対するうしろめたさのリップサービスと、聴衆である日本人が自らの経済発展の贖罪とそのまた「未開文化」に対する償いとで醸成されています。少なくとも、何もいわないことが自ずと本質を語っている禁忌と、遺伝子による近親婚の唯物論的問題の同時解決という文化人類学をはじめて知ったときの驚きとは別の論2018/11/24

佐島楓

13
素敵な方だったというのが文章から伝わってくる。知るのが遅すぎたという落胆と共に読んだが、日本通でいらしたということ、どの研究対象へも敬意をはらうのを忘れぬということ、そして偉大な知そのものだということ、この三点に非常に感銘を受けた。これから私にできるのは、貪欲に勉強していくことくらいだろうとは思うが、せめてこの気持ちを忘れずにいよう。2011/11/13

白義

11
平易で深くて明晰な、文化人類学最良の入門書。文化人類学が成し遂げたものとこれからの世界への意義について、やさしい語り口でその思想まで語っている。生殖技術と文化との関係や真に成熟した相対主義など、現代にも全く古びていない議論の射程の広さ、力に圧倒させられる。全く何も知らない人がここから読み始めてもまだ他の本より読みやすいくらいこなれているが、言葉の端々にフィールドワークと熟慮、足と頭で考えた成果が現れていて簡単に読み飛ばせないし、何度も再読したくなる。幅広い人々に向けての講演なのも大きいのだろう2012/07/14

roughfractus02

3
構造は知ることと感じることが変換の関係にあり、その過程に終わりはない。1996年の日本での講演をまとめた本書は、平易な語り口で科学的思考と神話的思考を論理的区別として示す。著者は「概念の連鎖で論理を進める」前者に対し、「天と地、地と水、光と闇、男と女」等を対置してそこに「色彩、手触り、味わい、響き」の質から成る論理を用いるという。さらに、生物学的進化で説明する科学的思考で説明できない諸言語や生活様式の多様性について、生物学的進化で選択された属性が自然と文化の変換の継続によって個々に確立し普及すると捉える。2018/08/13

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