内容説明
芸術のジャンルを軽やかに横断し、無数の作品を残したコクトー。ディアギレフ、ニジンスキー、ピカソ、サティ、ジュネ、ヴィアン、トリュフォーら、さまざまな人々との刺激的な交流を続けながら、常に未知の領域を探究し、不可視の世界を鮮やかに表現した芸術家の生涯を辿る。
目次
序 幻視の芸術―単独者コクトーの絶えざる変貌の世界
第1章 ベル・エポックの青年詩人
第2章 ディアギレフ、ストラヴィンスキー、ピカソ―第一次大戦をはさんで
第3章 コクトーと狂乱の時代
第4章 ナチス・ドイツ占領下のパリとコクトー
第5章 パリ解放とコクトー芸術の新たな胎動
第6章 内なる知られざる神の探究
コクトーと三島由紀夫
著者等紹介
高橋洋一[タカハシヨウイチ]
1948年、東京都生まれ。一橋大学卒業。専攻、文化社会学・比較文化。ファッション・舞踊・文芸・美術などの評論活動をする
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感想・レビュー
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どらがあんこ
9
コクトーに影響を与えた人々や出来事との邂逅は決して単線的に、年表に表されるものではないのだなと窺い知れる。スタイルだけ真似た「前衛」ではないこと。きっとそれは必然的に転回と痛みを伴うものだったのだ。2019/03/17
うえ
6
「三島はコクトーが自らの手掛けたジャンルを、小説の詩、デッサンの詩、映画の詩、演劇の詩、舞踏の詩、批評の詩などと分類したのを意識したかのように、晩年には、華麗な文章で小説を書き続けた「書物の河」、自らの身体を鍛え上げ美を追求した「肉体の河」、政治的な理念を追求した「行動の河」、数々の戯曲を生み出し芸術の理想を求めた「舞台の河」と、自分の生涯を四本の河になぞらえてもいる…そして、六○年の十二月一五日、三島はついにコクトーに会った…三島は…仏文学者の朝吹登水子の案内で、コクトーの芝居の舞台稽古を見に出掛けた」2018/02/01