内容説明
戦後に登場し、進化したモノによって、女性の生活や意識はどのように変貌したか。モノと人間の関係、人間と人間の関係、男と女の関係、そしてジェンダーの再編成を、パンスト・下着・ナプキン・避妊具・洗濯機など九つの「モノ」を切り口に、その交渉史をさぐり、これからの生き方を探求する。
目次
序章 「モノと女」の交渉史にむけて
1章 パンスト―身体感覚を変える
2章 下着―性と生を支配するもの
3章 ナプキン―「汚れ」の呪縛を解く
4章 避妊具―身体管理の社会装置
5章 洗濯機―「戦後」の幕をひく
6章 流し―「屈む」から「立つ」への道程
7章 トイレ―女役割を映す鏡
8章 手帳―暮らしのコントロール・システム
9章 たばこ―自己主張を超えて
著者等紹介
天野正子[アマノマサコ]
1938年、広島市生まれ。お茶の水女子大学大学院教授。社会学、とくにネットワーク論やジェンダー論を専攻
桜井厚[サクライアツシ]
1947年、石川県生まれ。東京都立大学大学院博士課程修了。千葉大学文学部教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
130
生理用品の変遷を知るにつけ、物資のない時代にわら灰や米糠を布袋に入れて使った祖母の世代や、ナプキンの登場で劇的に変化した母の世代に思いを馳せた。数々のファッション誌が創刊されプロポーションや動きの注目された60年代、ストッキングがフルファッションから活動しやすいシームレスに移行していく変化を、「第二の皮膚」の奪回とよんでいる。奪回したからこそ、見せるミニスカートとパンストの時代がくる。「見られる」時代から「見せる」時代へ。避妊具、洗濯機、トイレ、たばこ…変わったようで、差別は巧みに隠されたのかも知れない。2020/02/22
とよぽん
21
再読。今回は手帳の浸透、トイレ、台所の進化を興味深く読んだ。かつて、手帳というものは女性に必要ないものであった。それが、1970年代に手帳ブームが起こってビジネスマンから女性までかなりの割合で愛用者が増えた。社会の情報化、行動範囲の広がり、時間管理など、手帳の必要性が急速に高まったのだ。逆に、日記の需要が減ったこと、これも生活の変化が表面化したものか。とにかく、どのページを開いても面白い本だ。2003年初版。2019/07/03
ともゑ
5
人の心が時代と共に変わって新しいモノを作り出す。一方でその新しいモノによって人の心が変わっていく。この本はフェミニズムな視点が強いのでそれらのモノがいかに女性を解放していったのかという話に進んでいくんだけど(それもそれで面白くはあるのだけれど)性別関係無くそういうのって結構あるんじゃないか。そんなモノと歴史についてもっと知りたくなった。2014/02/22