内容説明
七つの海を支配し、世界にさきがけて産業革命を達成した一八~一九世紀の英国。工業化と都市化にともなって、英国人の生活はどう変わったのだろうか?当時の都市文化・家庭観・食事・病気・召使い・レジャー・パブなどの日常生活に光をあてる。
目次
1 都市文化の誕生
2 家庭と消費生活
3 白いパンと一杯の紅茶―庶民の食べ物
4 病気の社会史―工業化と伝染病
5 いざというときに備えて―保険金幼児殺人事件
6 ヴィクトリア時代の家事使用人
7 地方都市の生活環境
8 リゾート都市とレジャー
9 パブと飲酒
著者等紹介
角山栄[ツノヤマサカエ]
1921年生まれ。京都大学経済学部卒業。経済学博士、和歌山大学名誉教授。専攻はイギリス経済史。主な著書に、『イギリス毛織物工業史論』(ミネルヴァ書房)、『茶の世界史』(中公新書)、『時計の社会史』(中公新書)、『講座 西洋経済史』(編著・同文館)などがある
川北稔[カワキタミノル]
1940年生まれ。京都大学大学院文学研究科中退。文学博士。現在、大阪大学大学院文学研究科教授。専攻はイギリス近世史、主な著書に、『洒落者たちのイギリス史』(平凡社ライブラリー)、『工業化の歴史的前提』『民衆の大英帝国』『砂糖の世界史』(以上、岩波書店)などがある
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感想・レビュー
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シルク
9
ひーんって、なる:*:・ドキo(*´ε`*)oドキ・:*: なんせ面白くって。特に都市において食品に混ぜられたもの……てのに関する論考が興味深かった。「一袋二四〇ポンドの小麦粉の中におよそ四オンスの明礬を混ぜていたようである。明礬のほかには白亜、アンモニアソーダもよく使われており、時にはゆでた馬鈴薯や石粉、パイプをつくるのに用いる白土、骨粉なども使われていた。骨粉の原産地のひとつが墓地であったことはいうまでもない。」(pp.112-3)……骨はやめてんかって感じだよな_| ̄|○、;'.・ オェェェェェ2018/02/24
シルク
7
再読。この本、好きなんだよな。思ふに、平凡社のこの文庫シリーズって、文字の大きさ、文字の配置、行と行の間隔とかが絶妙だ。なんてったらいいのかなあ...読む喜びを溢れさせるんだよな、そういう条件が。この本は内容も面白く興味深いのだが、わたくし的にはその、文字の状態が、もはや「眼球のマッサージ」であるのだと思う。学生時代に読んだ、宮本常一の日本残酷物語の文庫のやつが、これまた読む行為自体が快楽になるようなだったけど、あれも平凡社のじゃなかったろうか? 平凡社。いいなあ。2020/08/13
ざっきー
5
【図書館】図書館で借りたら1982年発刊のバージョンでした。産業革命前後のイギリス庶民の生活を中心に書かれているので、森薫のエマを知っている人は楽しめると思います。当時の庶民生活がどんなものだった想像できる良書です。2023/11/01
牛歩
5
元は30年前の1982年に刊行された本。よって内容が古くなっている部分もあるはずだが、新しい知見なり研究成果なりを今後見ていくスタート地点としての役目は十分に果たしている内容だった。2012/11/28
ジュンジュン
3
名もなき大衆の生活を対象とする歴史学の一分野社会史。本書は世界に先駆けて産業革命を成し遂げ、都市労働者を生み出したヴィクトリア期(19世紀)を描く。各方面から考察されている分、広く浅くといった内容。2017/12/05