内容説明
文学・思想をはじめ、芸術から政治・社会まで加藤周一の多岐にわたる思索と評論の宇宙―。その中心をなす日本文学論の粋を編む。古代から現代まで、各時代の文学者の作品に日本文学史を貫く変化と持続を読む。
目次
「後白河法皇」―「梁塵秘抄」より
世阿弥の戦術または能楽論
一休という現象
新井白石の世界
富永仲基と石田梅岩
福沢諭吉と『文明論之概略』
鴎外と「史伝」の意味
漱石に於ける現実
荷風覚書
龍之介と反俗的精神〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
盧嘉林
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論理の切れ味と内容の割のわかりやすさは本当に鳥肌が立ちそう。個人的には一休さんの章や林達夫の章の実体験から論理性を生み出していく過程はとても得るものが多かった2016/09/03
北六
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権力が天皇から将軍に移行する時代の,後白河法皇の権力闘争自体を目的としたような行動,そして世阿弥が風姿花伝などで伝えようとしたことなど,精密な読書と時代背景を考慮した考察に脱帽.漱石について,「『猫』は全く読むに堪えず,『虞美人草』の太平楽は,馬鹿馬鹿しい」,「『こころ』は,他に例を見ない失敗であった」ときたのには痺れた.2012/08/25