内容説明
川岸にて釣り糸を垂れる、あの気分を描き、われわれを水辺に誘う、時を超えて読み継がれてきた、釣りの悦楽を説く釣り師の聖典。二部・三部を含む、著者最終改訂版(第五版、1676年)からの初めての完訳版。
目次
釣り師、鷹師、狩猟家の会話、それぞれが自らのレクリエーションを自慢する
カワウソとチャブの話
チャヴェンダーまたはチャブの釣り方とその料理法
マスの性質および繁殖の話と、その釣り方。乳搾りの娘の歌
マスの釣り方の追加説明、マス釣り用の擬似のミノウとフライの作り方、そして余興少々
アンバーまたはグレイリングの話と、その釣り方
サケの話と、その釣り方
ルースまたはパイクの話と、その釣り方〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うた
5
井伏鱒二に開口健、川釣り好きの文士たちの愛読書。のどかな時代ののどかな釣り指南書かと思いきや、魚の種類や特徴、釣り方はもちろん、生き餌の育て方やフライの作り方など、趣味人の本気を見て取れる。形式は釣り名人が弟子に説明する形をとっており、プラトンの対話篇のごとしで、所々に愉快な詩をはさんでいて読み物としても面白い。2021/09/20
イソテルス
3
魚の腹に牡蠣を詰めて焼く。本当にうまいんだろうか?全然想像がつかないのだが。牡蠣の風味が魚に回るのか?2016/01/31
ほたぴょん
2
17世紀に書かれ、「釣り人のバイブル」とも言われた本。全編が、釣り師が初めて釣りをする人に教授をするという対話篇になっている。といっても、魚の釣り方に関するハウツーだけではなく、釣りというレクリエーションがいかに素晴らしいものか、という釣り哲学や、釣った魚の料理の仕方、釣り場への道中や宿での交歓風景など、書かれた内容は釣り全般にわたる。僕自身は釣りを趣味とする人間ではないが、17世紀の釣り、という、現在からは想像しにくい当時の風景が、牧歌的な会話の中でほのかに浮かび上がってくるような楽しい本だった。2011/08/04
Hotspur
0
魚釣りについては詳しくないが、19世紀産業革命の矛盾が露呈してきた時代になって急に売れ出した本だというのはよく分かる。「かってアルカディアにありき」という牧歌的世界の素朴さへの憧れだが、わかっていても面白い。そもそもこの本自体が、「のどかな時代にのどかな生活を送った人によって書かれたものではない」のだ。2019/10/25