内容説明
哲学者は何をどこまで思考したのか。歴史の構造ではなく“状況の理論”をこそ追求しつづけた曲折の全域を探査し、歴史の特異点に向けて、“はじまり”のために空虚をこじ開け、理論と実践、哲学と政治の連結と差異を消尽点にまで追いつめ、マルクス主義の境まで越えてなお、“現時点”に理論的に介入する、その思考の振舞いをこそ手に入れる。第一人者による待望のアルチュセール論。
目次
第1章 状況conjonctureの理論(一九六七年;ある誤解と失敗―モンテスキューとマキァヴェッリ ほか)
第2章 主体の論理(なにが不在であるのか?;イデオロギーのほうへ ほか)
第3章 政治とはなにか、哲学とはなにか(哲学の“対象”としての状況/政治;連結から二重化へ―「哲学的治療」の技術 ほか)
第4章 最後の“切断”(状況の理論としての出会いの唯物論;哲学においてマルクス主義者であること ほか)
著者等紹介
市田良彦[イチダヨシヒコ]
1957年生まれ。京都大学大学院経済学研究科修了。現在、神戸大学国際文化学研究科教授。専攻、社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
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アルチュセール関連の書物を手に取るのは、何年振りか。一応、アルチュセールで大学院の修士論文を書いたという経緯があるのだけれど、その捉えどころのなさに、殆ど嫌気がさして、以来アルチュセールは封印してきたつもりだった。しかし、この書には何となし惹かれるものを感じて、手に取ってみたものの、かなり難解な代物。何せ死後世に出た作品への言及が多く、それらの書物には全く手を付けていないため、分かりにくいことおびただしい。ただ、本書を読んで、アルチュセールという人は、色々な意味でややこしい人だったと改めて思わせられた。2011/02/19