内容説明
同胞の屍体処理を強いられ、自らも死を免れえなかった特殊部隊、彼らゾンダーコマンドのメンバーが絶望的な状況から送り届けた宛先すらも不確かな4枚のフィルムの切れ端。イメージの資料性を頑なに否定する者たちに抗し、そして何よりも、証言や写真がどこかへ届くはずだと信じた希望なき人びとへの応答=責任として、すべてに抗して、不完全な断片から1944年夏の絶滅の歴史を再構成せんとする強靭な意志。イメージ人類学の果敢な実践。
目次
1 イメージ、すべてに抗して(地獄からもぎ取られた四枚のフィルムの切れ端;創造不可能なものすべてに逆らって;歴史の目の只中で;似たもの、似ざるもの、生き残るもの)
2 全体的なイメージに抗して(イメージ=事実あるいはイメージ=フェティッシュ;イメージ=アルシーヴあるいはイメージ=外観;イメージ=モンタージュあるいはイメージ=嘘;似ているイメージあるいは見せかけのイメージ)
著者等紹介
ディディ=ユベルマン,ジョルジュ[ディディユベルマン,ジョルジュ][Didi‐Huberman,Georges]
1953年フランス中部リヨン近郊サン=テティエンヌ生。リヨン大学で美術史と哲学を修めた後、パリ社会科学高等研究員(EHESS)に移る。1984年からはイタリアやアメリカで海外研究を行い、パリ大7大学勤務を経て、1990年よりパリ社会科学高等研究員助教授。著書はすでに20冊を超える。旺盛な執筆活動に加え、国際学会・シンポジウムでの発表や展覧会企画なども積極的に行っている
橋本一径[ハシモトカズミチ]
1974年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程・日本学術振興会特別研究員。表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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