イメージ、それでもなお―アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真

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  • サイズ A5判/ページ数 337p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784582702620
  • NDC分類 209.74
  • Cコード C0010

内容説明

同胞の屍体処理を強いられ、自らも死を免れえなかった特殊部隊、彼らゾンダーコマンドのメンバーが絶望的な状況から送り届けた宛先すらも不確かな4枚のフィルムの切れ端。イメージの資料性を頑なに否定する者たちに抗し、そして何よりも、証言や写真がどこかへ届くはずだと信じた希望なき人びとへの応答=責任として、すべてに抗して、不完全な断片から1944年夏の絶滅の歴史を再構成せんとする強靭な意志。イメージ人類学の果敢な実践。

目次

1 イメージ、すべてに抗して(地獄からもぎ取られた四枚のフィルムの切れ端;創造不可能なものすべてに逆らって;歴史の目の只中で;似たもの、似ざるもの、生き残るもの)
2 全体的なイメージに抗して(イメージ=事実あるいはイメージ=フェティッシュ;イメージ=アルシーヴあるいはイメージ=外観;イメージ=モンタージュあるいはイメージ=嘘;似ているイメージあるいは見せかけのイメージ)

著者等紹介

ディディ=ユベルマン,ジョルジュ[ディディユベルマン,ジョルジュ][Didi‐Huberman,Georges]
1953年フランス中部リヨン近郊サン=テティエンヌ生。リヨン大学で美術史と哲学を修めた後、パリ社会科学高等研究員(EHESS)に移る。1984年からはイタリアやアメリカで海外研究を行い、パリ大7大学勤務を経て、1990年よりパリ社会科学高等研究員助教授。著書はすでに20冊を超える。旺盛な執筆活動に加え、国際学会・シンポジウムでの発表や展覧会企画なども積極的に行っている

橋本一径[ハシモトカズミチ]
1974年生。東京大学大学院総合文化研究科博士課程・日本学術振興会特別研究員。表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

34

20
実はイメージよりも、引用されているゾンダーコマンドのメモ(?)にふるえた。絶対的に非人間的な状況がもたらす絶望から、それでも見ている光景を残し、伝えたいという欲望は、たしかに胸を打つ。レーヴィは、ダンテの詩句を想い出せたときに、収容所で最高の慰めをえることができたといっていた。わたしの生よりあとまで続くものが、人間的なものなのだ。もちろん絶滅収容所は、そうした継承可能性をまるごと破壊することを企図している。それでもなお。2019/04/17

hitotoseno

11
人間と他の生物を分かつ特徴は話す能力だ、というのはきわめてありふれた定義であるが、それをある意味で十全に理解していたのはナチスである。彼らはユダヤ人を収容所に連行し、虐殺したことで有名であるが、これは通常人道に悖る罪である、とされる。しかし、彼らの狙いはユダヤ人を人間ならぬものにすることだった。人は惨劇に出会うと言葉を失う。彼らは、徹底的な惨劇を見せることによって犠牲者たちから言葉を奪い、人間ならぬものにすることによって、動物として処分することを目指していた。2017/08/11

kentaro mori

2
イメージ=裂け目●知るためには(今日われわれが位置する時間と場所からその歴史を知るためには)自分で想像しなければならない●イメージは、歴史と同様、何ひとつ復活させはしないのである。だがイメージは「贖う」。イメージは知を救い、イメージはすべてに抗して、自らができるのはごくわずかであることに抗して、時代の記憶を唱える。2022/03/16

TOMYTOMY

2
ランズマンへの怒りが、ちょっと読みづらいんですが、でも本タイトルの論は凄い。 ドキュメンタリー映画や戦場での写真を考えるきっかけになる。メディアとはイメージとは。フィクションとリアルの境目で。 再読したいし、時間はかかったが再読せざるおえない一冊。 何より、ゴダールの映画史の言及がかなり面白いのと、これ読んで再度平井圭さんのあれが読みたい(意味深め)2019/09/30

Yuho Tanuma

2
サウルの息子の副読本として最適。 2019/04/27

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