知覚の宙吊り―注意、スペクタクル、近代文化

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  • サイズ A5判/ページ数 554p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784582702576
  • NDC分類 720.1
  • Cコード C0010

内容説明

注意する知覚がはらむパラドクシカルな様態を、近代の転換期を画す三画家の作品―マネ“温室にて”、スーラ“サーカスのパレード”、セザンヌ“松と岩”―のなかに鋭く読み取る。美術史、思想史、科学・技術史、文化史…さまざまな学問分野を越境する、批評精神と歴史研究とが結びついた稀有な成果。図版多数。

目次

第1章 近代性と注意の問題
第2章 一八七九年―拘束なき視覚
第3章 一八八八年―脱魔術化のイルミネーション
第4章 一九〇〇年―綜合(ジンテーゼ)の再創出
エピローグ 一九〇七年―ローマの魔法

著者等紹介

クレーリー,ジョナサン[クレーリー,ジョナサン][Crary,Jonathan]
コロンビア大学教授。プリンストン大学建築学科客員教授。美術史

岡田温司[オカダアツシ]
1954年生。京都大学大学院教授。西洋美術史

石谷治寛[イシタニハルヒロ]
1977年生。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程在籍。西洋美学・美術史。主に19世紀フランスの近代芸術、視覚メディア論を専攻

大木美智子[オオキミチコ]
1979年生。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。現代美術

橋本梓[ハシモトアズサ]
1978年生。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程在籍。現代美術・芸術論
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感想・レビュー

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きつね

2
近代に於ける視覚と視覚の制度についての本。たとえば壁に掛かった画を凝視し続けてみてほしい。ふと気づけば、何を見ていたのかと放心するか、あるいはあまりの狂おしさに視線は揺らぎ始めるかもしれない。凝視(注意)と放心・遠心(散漫)の間で宙吊りになる知覚、これが本書のテーマ。検討する題材はマネ、スーラ、セザンヌの絵画。召喚されるのは19世紀~からポストモダンまでの心理学、哲学、社会学等諸領域の巨人達。一体なんのことやらと思われるかもしれない。(コメントに続く2012/02/21

Was

2
「注意」という概念がいかにして出来あがり、どのような意味を持つのか、というのを主観的視覚の誕生からたどって、スーラやセザンヌの絵画を題材にしながらあらゆる学問分野の知識を総動員して検討していく。とにかく面白い。大傑作。2011/05/21

毒モナカジャンボ

1
ADHDが社会問題になることは、社会が長時間にわたり対象への注意と、身体の自律を要求するようになっていることを示しているわけで、注意というものが社会的構成物であることの証左なのだけど、この本では1870年から30年間の注意にまつわる思想の変遷を、マネ、シーラ、セザンヌの絵を中心にたどる。広大な分野からの膨大な引用がなされ、事物と時間(存在論)、身体と意識(認識論)、時代背景(マルクス主義批評)などの観点から語られる注意は、労働と芸術の相補的関係の中で規律化・脱規律化する。クソほど前提知識がいるので厳しい。2019/09/17

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