開かれ―人間と動物

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  • サイズ B6判/ページ数 208p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784582702491
  • NDC分類 104
  • Cコード C0010

出版社内容情報

★本書は『書評空間 KINOKUNIYA BOOKLOG』にエントリーされています。

内容説明

人間と動物が交錯する未決定な「例外状態」の閾を、バタイユのアセファルから、コジェーヴのスノッブ、ユクスキュルのダニ、ハイデガーの倦怠へと縦横無尽に描き出す、生政治の超克と人類学機械の停止へむけた壮大な系譜学。

目次

動物人
無頭人
スノッブ
分接の秘儀
至福者たちの生理学
経験的認識
分類学
序列なし
人類学機械
環境世界
ダニ
世界の窮乏
開かれ
深き倦怠
世界と大地
動物化
人類創生
あいだ
無為
存在の外で

著者等紹介

アガンベン,ジョルジョ[アガンベン,ジョルジョ][Agamben,Giorgio]
1942年生。パリ国際哲学学院、ヴェローナ大学などを経て、現在ヴェネツィア大学教授。哲学・美学

岡田温司[オカダアツシ]
1954年生。京都大学大学院教授。西洋美術史

多賀健太郎[タガケンタロウ]
1974年生。大阪大学大学院博士課程在籍。哲学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネムル

14
物知りおじさんによる陽気な悪戯といった趣でなかなか面白い。厳密なる学問(?)や深みのある含蓄(?)を期待すると肩透かしかもしれないが、中盤からリンネの罵倒「デカルトが猿を見なかったことは確かだ」、ユクスキュルのダニ、ハイデガーの倦怠に思考を展開するなかで、人間と動物の境界線を次第に宙吊りにしていく。この閾への洞察が脳死や生命倫理の問題をはらむだけでなく、『アウシュヴィッツの残りのもの』と回教徒へも問題の射程が広がっていることがわかる。オチは多分にロマンチックで、ちょっとふしぎな印象を残す本だ。2020/06/13

yozora

2
ベンヤミンの「救出された夜」で補強したコジェーブ-バタイユの歴史以後の人間観(スノッブ-残余)を、ハイデガーの人間観と接続し、動物と人間のあいだに絶えず引かれ、生権力の対象となる「剥き出しの生」を産出してきた分割線(人類学機械)の対象化を目指す。生物学やグノーシス主義など例示が多彩で議論がアクロバティックに跳ねつつ、進んでいくのは見てて楽しい。2014/12/10

manifestus_

1
「人類機械学」と呼ばれる包摂と排除システム、排除とは人間のうちに非人間を定めることで、非人間とされたのは脳死状態の生体やアウシュビッツへ送られたユダヤ人だった。アガンベンは処方箋として“それらの機械がどのように機能しているのか把握し、いざとなったら、それらの機械をを停止できるようにしておくことなのだ”と説明する。人間の動物化とは巧妙に隠蔽された政治による生のリニア化ではないだろうか。2012/03/16

★★★★★

1
ハイデガーを手掛かりに、人と動物の境界を問い直す論考。かつて人と動物の間は曖昧であり、半獣人などの中間的存在が闊歩していたが、やがて啓蒙理性によって両者は峻別されるようになった。そのうえで、人間の「倦怠」は、閉じた環境世界の中に開かれるという動物の「放心」と共通性を持っていることを指摘し、再び両存在の重複性を取りもどそうとする、ということみたい。前半はわかりやすかったけれど、後半を理解するにはちょっと前提知識が不足していました。2012/02/05

耐える男

1
動物的なものと人間的なものの「分割と分断の政治学」、両者の葛藤の座としての人間、分節のあいだから零れ落ちる残余。後半、ハイデガーが絡むにつれ、頁を操る手も鈍くなった。勉強不足を実感。いつか再読したい2010/12/23

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