内容説明
スピードに象徴され、環境を破壊しつづける現代社会は、誰にとっても生きにくい。それとは異なるライフ・スタイルを求めて、さまざまな場所で模索し、考える人々の言葉に耳を澄ます。「遅さ」という大切なものを再発見するユニークな試み。
目次
もっとゆっくり、今を
スロー・フード―食べ物を通じて自分と世界との関係を問い直す
「三匹の子豚」を超えて―スロー・ホームとスロー・デザイン
「いいこと」と「好きなこと」をつなぐ―スロー・ビジネスの可能性
テイク・タイム―「動くこと」と「留まること」
疲れ、怠け、遊び、休みの復権
さまざまな時間
ぼくたちはなぜ頑張らなくてはいけないのか?
住み直す
スロー・ボディ、スロー・ラブ
遅さとしての文化
著者等紹介
辻信一[ツジシンイチ]
1952年東京生まれ。明治学院大学国際学部助教授。専攻は文化人類学。ここ数年は、カナダ先住民についての調査のほか、エクアドルを中心に環境活動を展開している。1999年、環境=文化運動「ナマケモノ倶楽部」(http://www.sloth.gr.jp/)を設立、その世話人を務める。「スロー」社、「カフェスロー」社など環境共生型ビジネスに取り組むほか、以下のNPOやNGOにも参加している。大地を守る会、マングローブ植林行動計画、いるふぁ、NAM、レインボーリング、プラネット・ドラム・ファウンデーション
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ernest
5
山内マリコさんが紹介していた本。目まぐるしく過ぎていく毎日に嫌気が差してきた。時短時短と叫ばれるようになったけどじゃあその節約した時間はどこに行ったのか?時間を切り詰めているのに、昔よりも忙しなく、ゆとりのない生活。昔よりも豊かでない気がするのはなぜか。頑張れ頑張れ言われることに違和感を覚えるのは、五輪に違和感を覚えるのは、すべて競争を前提にしているからで、それが優劣につながるからなんだな。そんなに豊かになって何がしたいのかな。生きてるだけでそれで良い。道草食いながら、自然と共に生きたい。2021/05/30
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
5
買ったまま積ん読になっていた本。読後、買った当初に読んでおけばよかったと思った。社会にまだ余裕があった当時ではなく、いま読むと、説得力が少なく感じる。参考文献もよい本がたくさん上げられていて、内容もそれなりによいのだけど、どうしても上滑りの印象を拭えなかった。こういった主張は、大概は生活に余裕のある人が唱える(もちろん例外もある)主張だからかも知れない。正論ではあるので、そこを超えて訴える力がほしかった。今後は本書の再読はせず、参考文献などを頼りに色々と読み進んで考えを深めたいと思う。2014/11/28
takao
3
ふむ2024/01/14
nizimasu
3
スローというのは、ファーストの対義語でなく、世の中の主流に対するオルタナティブなスタイルをさしている。この本には、スローフードやスローライフという色々な解釈や活躍している人たちの紹介もある。でもこれはすべて塊としてあるのではなく、あくまで別の生き方という視点だ。その多様な森のような世界を散歩するような本で、押し付けがましく心地よい。もっと世界は単線でなく複線でいい。そう思えた2012/08/21
岡部淳太郎
3
この本が出た数年後、マスコミで「スローライフ」が一種ファッション的に喧伝されたことがあったが、あれはひどかった。そういう方向でいかないと耳目をひきつけられないというのはわかるが、問題はそんなところにあるのではない。この本をじっくり読めば、問題の本質がわかるはず。2002/09/19