内容説明
何がモノの形を決めるのか。フォークからプルトップのビール缶まで、あらゆるモノのデザインを支配する究極の原理を解き明かす。
目次
フォークの歯はなぜ四本になったか
形は失敗にしたがう
批評家としての発明家
ピンからペーパークリップへ
瑣末のモノもあなどれない
ファスナーが生まれるまで
道具が道具を作る
増殖のパターン
流行とインダストリアル・デザイン
先行するモノの力〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジョニーウォーカー
15
ポラロイドが生まれたきっかけは、3歳の少女の「父さんが撮った私の写真をどうして今すぐ見られないの?」という何気ない一言だったとか。本書の提唱する「形は失敗にしたがう」は、世界のモノづくり・デザインの現場で当り前のように唱えられている「形は機能にしたがう」を、根底から否定するもの。ペーパークリップやファスナーなどの日用品の歴史をひもといてみると、多くのモノが“現状への何かしらの不満”から発生・進化しているというのだ。自分のマイナス思考や、ないものねだりも、いつか何かに活かせないだろうか? 図書館本。2009/10/22
しじみ
6
フォークやファスナーなど、身近な物の進化の過程がまとめられている。ポストイットが化学メーカーから生まれたとか、面白い事例がたくさん載っている。世界中で使われている商品だけど、決して望まれて生まれた訳ではないのだな。「必要は発明の母」という諺は真実ではないのかも。毎週掃除しないと詰まる排水溝とか、腕を10分近く上げ続けないと髪を乾かせないドライヤーとかもいつか進化してその欠点が解消されるのだろうか?2022/01/12
Uzundk
4
人工物の形は誰かの思いついた"完璧な形"になっているのだろうか。欠点の無い道具とはあるのだろうか。多くの人がいつも使っている日用品、実用品が今の形になっている理由「形は失敗に従う」という事を追いかけるのが本書の中身。デザインのスタートは完璧でも完全でもないし、たいていは形にしたら酷い欠点が見つかる。また道具が進化することによって私達の認識が変わることで新たな欠点が生み出されることもある。常に欠点を見いだされるために改善の余地が生まれ、形が改変されていくのだ。2015/11/17
杞人
2
発明は「形は機能に従う」のではなく「形は失敗に従う」という主題をひたすら様々な例を挙げて変奏する。しかし決して単調ではなく実例が身近かつ意外、さらに(翻訳だが)筆者のユーモアの利いた筆致が読者を飽きさせない。そして、私もこの主題に首肯する。実際、一番アイデアが湧くのは「何でこんなに酷いものが存在するんだ!」と憤ったその瞬間だものなw2012/11/27
ももとり
2
私たちとはかけ離れたところで行われていると思われがちな「発明」について、とくに身近な実用品についての進化の歴史を見ながら「形は失敗にしたがう」ことを説明していた。現在使っている製品はいきなり生まれた訳ではなく、失敗にしたがい、段階を踏んで進化していく発展途中のものである。2011/12/04