内容説明
科挙によって近世の中国社会は、かつてない競争社会となり、諸階層ははげしく流動した。歴史学と社会学を結合させ歴史上の巨大複合社会の実態にせまる。
目次
第1章 社会イデオロギーと社会階層
第2章 身分制度の流動性
第3章 上昇移動―官界入り
第4章 下降移動
第5章 社会移動に影響する諸要因
第6章 社会的・学問的な成功及び移動の地域差
第7章 概括と結論
附録 社会移動の事例
感想・レビュー
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ヴィクトリー
1
明清時代の科挙による社会階層の流動性について統計的に調べた本。下の階層の人が高級官僚になり得た一方で、上層の人も数代経れば普通の人になってしまいがちだったようだ。これは独裁君主としての皇帝にとっては、優秀な人を登用出来て、なおかつ自分の身を脅かすような勢力を作らない、非常に都合の良いシステムだったんだろう。また、巻末にある事例で、貧しいが才能のある少年に手を差し伸べてくれる例が珍しく無い一方で、一家の大黒柱を失った家族の財産をむしり取ろうとする親戚や隣人も結構いたことについても考えさせられてしまう。2012/02/16
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- 和書
- 桜画報大全 新潮文庫