内容説明
わずか2cmの小さな魚、ダンゴウオが教えてくれた震災後の海の底のおはなし。だれも見たことのない海を撮り続けた3年半の記録。
著者等紹介
鍵井靖章[カギイヤスアキ]
1971年、兵庫県生まれ。大学在学中に水中写真家を目指し、伊藤勝敏氏に写真を学ぶ。1998年フリーランスの水中写真家として独立。2011年4月から震災の海、岩手県宮古湾周辺の海底を定期的に撮影しつづける。「ミナミセミクジラの海」にて、1998年に第15回アニマ賞受賞(平凡社)。2003年、日本写真家協会新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫綺
77
「探偵ナイトスクープ」で放映された小学生の依頼、ホンモノの「ダンゴウオ」を見たい!この小学生の熱望を生んだのが、東日本大震災後の海底に必死でしがみつくダンゴウオの写真が載ったこの本。親指の爪ほどの、何ともトボケた姿がブサカワイー♪2018/05/25
Kawai Hideki
60
東日本大震災の後の海の中の変化を追う写真絵本。地震の三週間後の海の底には、壊れたピアノやテストの答案、台所用品など、人間の生活を物語るものばかり沈んでいて、魚は見当たらない。そんな中一匹のダンゴウオに出会う。やがて時間が経つにつれ、海藻や魚たちが戻ってくる。沈んだ車を巣にするウニの家族、タイヤのホイールから芽を出したワカメ、折れ曲がった電柱を隠れ家にするギスカジカ、長靴に住むフサギンポなど。そして、ピンク色のサンゴモの中で、新しい命を育むダンゴウオたち。大地震の爪痕と自然のたくましさの対比が印象的だった。2016/10/09
Comit
56
市立図書~企画コーナーで発見。つぶらな瞳に一目惚れ(*≧艸≦)表紙のダンゴウオは冷たい海を好み、成魚になっても2cmくらいの小さなお魚さん。可愛さで手に取った本でしたが、内容はとても考えさせられた。水中写真家である著者が撮影した東日本大震災後の日本海再生の記録。地球は人間だけのものじゃない、自然を大切にするとはどういうことか、今一度考える必要がある。震災後の海の中を知ることができる貴重な1冊。2021/06/24
morinokazedayori
47
★★★★大震災直後の岩手県宮古湾の海底には、津波で流されてきた生活用品が溢れ、生物の姿はなかった。しかしその三年半後には海藻が茂り、様々な生物たちが海に戻ってきて、生活用品と共存している。たくさんの鮮やかな写真から、自然の神秘と力強さが伝わってくる。2016/09/19
美葉
25
東日本大震災直後の海の様子。新しい命を育むダンゴウオや、その他の海の魚たち。大地震は、人間だけではなく自然に住む人間以外の動物にも、影響を与えるんだなぁと思った。ダンゴウオ、、よく見たらとてもかわいい。2018/10/08