アクションコミックス<br> 不機嫌亭漱石 - 凛冽たり近代なお生彩あり明治人 『坊っちゃん』の時

電子版価格
¥660
  • 電書あり

アクションコミックス
不機嫌亭漱石 - 凛冽たり近代なお生彩あり明治人 『坊っちゃん』の時

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ コミック判/ページ数 311p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784575935233
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C9979

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

厩戸皇子そっくりおじさん・寺

32
春日ゆらの『先生と僕』を2巻まで読んだ勢いで再読。この『「坊っちゃん」の時代』5部作を読んだのは随分前だ。当時絶賛されていたよなぁ…。この本は最終巻で、漱石危篤の際の幻で多彩な人物が絡み合う。広沢虎造や長谷川伸が出て来る感じは、山田風太郎ファンである関川夏央らしい風太郎明治物の影響だろう。昔から谷口ジローは『孤独のグルメ』が一番好きだ。このシリーズは実在の人物ばかり出るため、谷口ジローの描く人間は基本的に顎が発達したいかつい顔立ちばかりだという、クセが凄い(by千鳥)部分がばれてしまっている。2014/11/22

みつき 

27
坊ちゃんの時代シリーズ完結。晩年夏目漱石が苦しんだ胃潰瘍のために明治43年危篤状態になると、走馬灯のように、人との出会い、別れが駆け巡る。そしてようやく、激動の時代がひとつ終わりを告げる。このシリーズは過度な演出がそれほどなく、ゆったりとした気持ちで明治時代を感じる事ができるので、良かったです。今でも多くの人を魅了してやまないこの時代は、『凛冽たり近代 なお生彩あり明治人』という言葉に全て集約されているような気がしました。2013/02/15

阿部義彦

18
とうとう最終巻を読了。話は再び漱石に戻りますが、強迫神経症による胃痛の為に嘔吐を繰り返す様になり、入院して転地療養で伊豆に赴くのであったが、鬱々として一向に良くならず夢うつつの体。妻の鏡子も呼び寄せたある夜、大量の血を吐き意識を失う。心は彼岸へ行き、過去の忘れられぬ人々と再び合間見えて交流する夢を見る。そこには既に死んだ黒猫や、ラフカディオ・ハーン、そして許嫁の樋口一葉の姿まで、現実と夢は混じり合い時を旅します。九死に一生を得た漱石は東京に戻り、幸徳秋水らが処刑された記事を読む。坊ちゃんの時代は去る2023/10/29

しゅん

15
「胃が痛い…酸っぱい」と作中こぼし続けた漱石がついに修善寺大喀血。「死の30分」に観たという妄想の体で、日露戦争から大逆事件までの明治末期を描いた本作の総浚いを行う。5巻冒頭、雨の中の人力車を描く遠景。縦に細かく書かれた雨の記号線が、山より上の空の部分だけほぼ消えている。光の中で拡散して目に見えない現象を捉えたものと思われる。長く降る大雨なのに雨が見えなくなる。幻と現の混在という本作の主題が絵のエネルギーを高めているよう。漱石をあらゆる角度から映す直後の分裂的なコマ割りも印象的。とにかく漫画が強い。2023/04/20

Bo-he-mian

13
関川夏央×谷口ジロー『坊っちゃんの時代』シリーズ完読。明治という何となくのイメージしかなかった時代が、くっきりとした輪郭をもち目に見えるような気にさせられる、谷口ジローの画力・描写力に何度も唸った。何よりも読み(見)ながらアッと思ったのは、明治初期の町の風景は当然ながら江戸の面影が残っていて、明治30年代から産業革命の影響で急速に近代化し風景が激変してゆくのだけど、その町の風景の違いが、何の説明もなく「あっこれは明治初期だな」みたいなのが判るという事。読者も一緒にタイムトラベルしているような体験だった。2021/12/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/493441
  • ご注意事項