森に眠る魚

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  • サイズ B6判/ページ数 365p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784575236491
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追いつめられてゆく。

著者等紹介

角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞、03年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kariya

181
人生は一度きり。やり直しはない。けれど親が子供を通じてリプレイを試みたら、それは恐るべき過ちとなる。たとえ成功しても。母親である、という以外は環境も生い立ちも性格も異なる五人は、違いが功を奏したのか、偶然の出会いを経て親密な交流を続けていた。だがふとした出来事から幼い我が子の「受験」に数人が目を向け、些細な食い違いや誤解がとめどなく悪意や憎悪を生み出し始める。子供の評価が母親の価値と同義に置かれる世界とは縁遠くとも、誰もが陥り得る感情の澱の話と読んだ。光も射さず泣き声も聞こえない、迷い込んだ深い森の奥の。2009/12/01

takaC

172
怖い。とても怖い本だった。君たち酷く病んでるよ。しかし男としては正直なところ「君たちアホですか?」というのが素直な感想。世の中こんな母親ばかりなのだろうか?2012/02/16

🐾Yoko Omoto🐾

140
子供を持つ五人の母親たちの、子育てと教育方針、本音と建前が交錯する人間関係、そして価値観のズレへの苦悩がお受験問題を通してリアルに描かれる。他人と比べることで生まれる優越と劣等、正解がない問題への焦燥感や自信の無さが、心のブレに繋がる描写が秀逸。他人は他人と割り切れれば楽なのに、子供が絡めば容易にはままならない関係が難しい。それでも、全ての悩みをさらけ出し共に悩むのは、ママ友などという一時的な存在ではなく、家族である夫であるべきでは。孤軍奮闘の母親に、呆れ黙り終いには無関心の父親の構図は寒々しい。➡(続)2017/04/16

いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】

130
図書館*隣の芝生は青い物語*どこにでもある普通の町で出逢った5人の母親。育児を通して互いに心を許しあう彼女たちだったが、その関係性は徐々に歪に変容してゆく…。引き金となったのは小学校受験なのか?それとももっと他の何かなのか?(紹介文・他より)――悲しい程痛々しい物語でした。 ⇒続き2013/09/01

れいぽ

120
子供を介した付き合いって大変そうだなぁ。何かがちょっとずつズレて取り返しのつかないことになる。ママ友って未知の世界だけど、どんな人間関係も距離のとり方ってホント難しい。彼女で語られる章は、あの事件を下敷きにしているのでしょうか。まさに悪夢の中といった濃度でした。事件をなぞるなら夫が宗教家の瞳の犯行ってことになるけど、あの中の誰もが「彼女」になってもおかしくない。いやはや、すごい話であった。この閉塞感を書ききった角田さん、お見事。そしてこの作品が初角田さんでだった私は、何か読む順番を間違えているような(汗2011/06/28

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