PHP新書<br> 事故がなくならない理由(わけ)―安全対策の落とし穴

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事故がなくならない理由(わけ)―安全対策の落とし穴

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  • サイズ 新書判/ページ数 218p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569808260
  • NDC分類 369.3
  • Cコード C0211

出版社内容情報

低タールたばこががんを増やす? 安全なクルマが乱暴運転を促す? 事故や失敗の背後に潜むリスク行動をとる人間の心理に光を当てる。

【著者紹介】
立教大学現代心理学教授

内容説明

鉄道、医療、バス、原発、温泉施設…事故が起きるたびに、責任が問われ、規制が強まり、対策がとられる。だが、安全対策によって「安全・安心」は高まったと言えるのか。著者は、安全対策によって人間の行動はどのように変化するのか、そこにこそ注目すべきと説く。事故や病気や失敗のリスクを減らすはずの対策や訓練が、往々にしてリスクを増やすことになるのはなぜか、人間の心理とリスク行動に光を当てる。さらにリスク行動の個人差、リスク・コミュニケーション、リスク・マネジメントにまで踏みこむ。

目次

第1章 安全装置が裏目に出るとき
第2章 失敗は訓練で防げない
第3章 リスク・ホメオスタシス理論
第4章 なぜ人はリスクを求めるのか
第5章 なぜ事故が起きるのか
第6章 リスク認知とリスク判断
第7章 リスク・コミュニケーション
第8章 リスク行動の個人差
第9章 リスクと共存する

著者等紹介

芳賀繁[ハガシゲル]
1953年生まれ。京都大学大学院修士課程修了。国鉄鉄道労働科学研究所研究員、JR鉄道総合技術研究所主任研究員、東和大学工学部助教授、立教大学文学部助教授などを経て、立教大学現代心理学部教授。博士(文学)。運輸安全委員会業務改善有識者会議委員、JR西日本「安全研究推進委員会」委員、日本航空「安全アドバイザリーグループ」メンバー、京王電鉄安全アドバイザーなどを兼任。専門は産業心理学、交通心理学、人間工学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

24
リスクをとることは利益につながるので、人々は事故や病気のリスクをある程度受け入れている。程度がリスク目標水準(58頁)。リスクとは結果の不確実性(72頁)。主観的効用最大化説とは、主観的な効用最大化行動を選択する仮説(81頁)。リスク・テイキングとは、リスクに気づいていながらそのリスクをとること(92頁)。安全とはリスクが受容できるレベルより低いこと。安心とは安全かの情報は知らないが、専門家などを信頼してリスクの存在を忘れられる心理状態(142頁)。マネージとはやりくりすること(176頁~)。2015/01/29

yuki

19
リスク・ホメオスタシス理論、いかにも難しい響きだが、エアコンの室温調節になぞらえた説明が分かりやすく、興味を持って読むことができた。印象的なのは、運転教習について述べられた部分。1968年のイギリスのデータでは、プロのインストラクターより、友人や親戚から教わった方が事故率が低かったのだそうだ。事故防止に繋がるかは不明だが、昨年免許を取得したばかりの私の実感として、教習中より教習後に家族から教わったことの方が難しく、かつ重要だったように思う。安全対策は時として人々の心に油断を生む・・・面白かった。2013/07/02

9
リミテッドより ●安全対策が成果を上げるのは対策によって人間の行動が変わるか。工学の問題だはなく心理学の問題 ●安心は最大の敵 ●リスク補償行動 低下したリスクを埋め合わせするように行動が変化し元のリスク水準に戻してしまう ●ルール違反を起こす要因は知らない、理解してない、納得してない、みんなやってない、注意・罰則を受けない ●リスクを過小視 正常性バイアス ●危険を知らせパニック<パニック恐れ知らせないリスク ▷安全装置等を入れてリスクを下げても過信してリスクを戻す。謙虚に生きたいものだ。2019/07/24

kotte

8
Kindle unlimitedで読みました。リスク・ホメオスタシス理論の詳細な解説があり、リスクに関する勉強をしたことがない私も理解することができました。事故を減らすための施策立案や技術開発には、人間心理を考慮に入れ、行動変化の可能性を事前に検討しなければならないという指摘は鋭いです。2017/01/22

ブロッコ・リー

7
リスク・ホメオスタシス(カナダの交通心理学者ジェラルド・ワイルド)の考えを日本に初紹介した著者。安全装置・施策の分だけ運転者はハイリスク行動をとり、結局は対策前の事故率は維持されるとの考え方。だから事故は簡単には無くならない。でもリスク目標を明確に設定し直して意識付したり、各人の想い(会社、家族、他大切な物事への愛)や明日への希望のサポートをしたりすれば、それら施策も有効と結論付ける。リスク対策は動機付け+やらされ感の無い施策。免許証のICカード挿入必須の車を作れば無免許運転事故も減るとの提言もあり賛成!2020/10/20

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