内容説明
韓国が失ったもの、失ってはいけないもの。
目次
1 漢字廃止・ハングル専用政策の災禍(漢字を廃止した韓国人が失ったもの;韓国漢字復活の難関;韓国語に漢字訓読みの導入を)
2 韓国の言い回し―生活感覚・社会感覚の日常性(ユニークな表現の数々;擬音;内臓ことば;身体ことば)
3 韓国のことわざ―価値観と人生観の伝統(男女にまつわることわざ;動物が登場することわざ;その他のことわざ)
著者等紹介
呉善花[オソンファ]
1956年、韓国・済州島生まれ。韓国で女子軍隊経験を持つ。83年に来日、大東文化大学(英語専攻)の留学生となる。その後、東京外国語大学大学院修士課程(北米地域研究)修了。評論家。現在、拓殖大学国際学部教授。著書に、『攘夷の韓国 開国の日本』(文藝春秋、第五回山本七平賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mazda
35
日本語の表現から漢字が全くなくなり、ひらがなだけの表示になると想像すると、どう感じるだろう?韓国では1970年に漢字が廃止されたそうで、ハングル、いわゆる「表音文字」のみでの表現となった(今の50歳以下くらいの人たちはほぼ漢字を読み書きできない、ということである)。表音文字なので、概念を伝える術がなくなってしまい、突っ込んだ議論がしにくくなった、あるいは、古い文献が漢字で書かれているから、その意味すら理解できない、という弊害があるという。日本との条約も多分理解できないんだろうな…。2013/08/11
西澤 隆
12
日本でも「漢字が文化障壁。やめないと先細りになる」論を展開する人もいる一方で、呉さんのように漢字を「論をイメージするための鍵」として非常に高く評価する人もいるからおもしろい。どちらにしても「昔の文献を読みにくくなる」のはしんどいな(日本も明治の言文一致運動他いくつもそういう動きがあって漢字仮名交じりだから誰でも昔の文献が読めるわけではないけれど)。後半のことわざなどの日韓対比はある意味「蛇足的」なのだけれど初期の彼女の作品のように「文化の違いからくるすれ違い」の手触りに再会できてよかったなとも思いました。2020/09/25
レコバ
9
民族意識から漢字を廃止したということだが、日本でのマーケティングを意識した為なのかは不明だが、そこに至る熱量に関する分析が無いのもったいない。語彙力の低下や過去文献へのアクセスの問題など容易に想像しうる問題を甘受してでも、得たかったものあるいは捨て去りたかったものにこそ分析する価値がある様に感じた。慣用句の日韓比較それ自体は興味深いものだが、このタイトルである以上、蛇足としか評しようがない。2020/07/15
Humbaba
9
感じが廃止されたことで,言葉の8割が使えなくなった.話し言葉は残ったとしても,それだけでは深い思索をすることは困難である.人は言語によって思索を深めていく以上,口語だけでは概念を考えることは難しくなってしまう.2011/08/20
CapH17
7
小さい頃漢字を書くのが苦手で漢字なんて無くなればいいのにと思っていたが、大きな間違いだったと気付かせてくれる本。2018/04/19