脳はいかにして“神”を見るか―宗教体験のブレイン・サイエンス

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  • サイズ B6判/ページ数 258,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784569626857
  • NDC分類 491.371
  • Cコード C0040

出版社内容情報

宗教体験のメカニズムを脳科学が解明する。

宗教体験の瞬間、脳はどうなっているのか。神秘体験は幻覚なのか。神話発生、儀式の効果、絶対者との一体感などの秘密を脳科学が解明。

脳神経学者である著者のニューバーグとダギリは、宗教体験を科学的に解明する「信仰の生物学」の研究の結果、「いわゆる神秘体験は幻覚ではなく、脳神経学的に測定可能な現象であり、宗教的体験は、ヒトの脳だけに組み込まれた先天的機能である」という仮説を立てた。

▼本書はこの仮説に基づき、ヒトの脳の基本メカニズムを解説した後、神話、儀式、神秘体験、宗教、絶対者などが、脳が自己と他者の区別を認識しなくなる「絶対的合一状態」に由来するものだという証拠を示していく。その鍵になるのが、身体の空間的な位置把握を司る脳の「方向定位連合野」だ。瞑想における極度の集中、あるいは「無」の状態がこの領域への感覚入力を遮断し、特別なモードに入ることが宗教体験を引き起こすというのだ。多くの事例を交えながら、平易な言葉で知的興味を喚起するポピュラー・サイエンスである。

●第1章 神の写真?――信仰の生物学序説 
●第2章 脳の構造――知覚の科学 
●第3章 脳のアークテクチャ――脳から心が生まれるしくみ 
●第4章 神話の創造――物語や信仰を生みだす力 
●第5章 宗教儀式の発生――実体化した意味 
●第6章 瞑想時の脳をさぐる――脳科学と進化論から 
●第7章 宗教の起源――消えない名案 
●第8章 現実よりもリアル?――絶対者を求める心 
●第9章 神はなぜ消えないのか――神のメタファーと科学の神話

内容説明

祈りと座禅のピーク、神話誕生の瞬間、厳粛な儀式がもたらす効果…宗教のリアリティーを脳神経学が究明する。

目次

第1章 神の写真?―信仰の生物学序説
第2章 脳の構造―知覚の科学
第3章 脳のアークテクチャ―脳から心が生まれるしくみ
第4章 神話の創造―物語や信仰を生みだす力
第5章 宗教儀式の発生―実体化した意味
第6章 瞑想時の脳をさぐる―脳科学と進化論から
第7章 宗教の起源―消えない名案
第8章 現実よりもリアル?―絶対者を求める心
第9章 神はなぜ消えないのか―神のメタファーと科学の神話

著者等紹介

ニューバーグ,アンドリュー[ニューバーグ,アンドリュー][Newberg,Andrew]
ペンシルヴェニア大学核治療ディヴィジョン放射線医学部助教授。同大学宗教学部講師。6年以上の長きにわたって脳の生理と機能を研究し、宗教体験や神秘体験の神経学的解明に取り組んできた

ダギリ,ユージーン[ダギリ,ユージーン][D’aquili,Eugene]
ペンシルヴェニア大学で精神医学部の臨床助教授を20年間勤める。1998年8月逝去

ローズ,ヴィンス[ローズ,ヴィンス][Rause,Vince]
フリーランス・ライター。ジャーナリスト。「ニューヨークタイムズ・マガジン」や「フィラデルフィア・インクワイアラー」など、多数の出版物に寄稿。「ディスカヴァリー・チャンネル・オンライン」の定期寄稿者

茂木健一郎[モギケンイチロウ]
1962年生まれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー。東京工業大学大学院客員助教授。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学理学系大学院物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専攻は脳科学、生物物理学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

白義

9
宗教学者が神と宗教、神秘体験のメカニズムを脳神経の構造から解き明かす啓蒙書…と思いきや、後半に進むにつれ、そんな生易しいものではなく、現代の新たな神秘主義と科学の融合を目指した本だとわかる。ニューエイジ的で危ういけど、物凄く面白い。科学と宗教学の融合を、宗教学に近い立場から描いたらこうなる、ということか。扁桃体と神に関する研究がまだ進んでいなかったのか、言及がないのが残念。脳が神を感じるという事実は、唯物的還元論ではなく、脳と高次の現実を示唆しているかも…というヤバさに耐えられるかが分かれ目2012/01/15

Yukicks

4
面白かった。神秘体験は幻覚ではなく、自己と非自己を分ける脳機能が遮断されることにより合一感に到るというもの。リズムカルな動き・呼吸・音楽・匂いなど、セックスやリラックス法にも使えそうだと思った。クオリアがなぜあるのかは言及なし。2011/02/02

まーくん。

3
僕には理解しがたい本だった。それは専門的用語の知識がないからだ。しかし、こういった本をあまり読まない僕でもこの本は分かりやすい方ではないかと思う。以降本文より。著者が「方向定位連合野」と名付けた頭頂葉の領域の活動が、感覚入力が遮断されることによって特別なモードに入るころが、宗教的体験のリアリティを支えていると推測している。この部位への感覚入力が何らかの理由で遮断されることが、自己と非自己の境界を揺るがし、いわゆる宗教的体験を引き起こすメカニズムの一翼を担っている可能性がある。2009/12/14

暗頭明

2
「現実は、そうでないものに比べてよリアルに感じられる」p.222 (…)物質世界のリアルさは、別の状態と比較するときに明らかになる。p.223 (…)神秘的合一を経験した人々は、こうした状態が高次リアリティーとして感じられると主張する。基準となるリアリティーと比較するとき、絶対的一者のリアリティーは、より鮮烈で、よりリアルであるという。p.223 デカルトの『省察』にある神の存在証明の手続き:完全はより高次の完全に含まれるという推論を連想する。2012/05/26

えりっくま

2
神秘体験は幻視や錯覚などではなく脳の正常な範囲内の神経学的働きの産物、言い換えると、ヒトには生理的に神秘体験をする潜在能力があるという仮説を様々な切り口で検証する本。宗教・神話・儀礼の起源の考察部分など、科学者だからと言って必ずしも論理的ではないんだなと思わせるような飛躍もあったが、なかなか面白かった。2012/01/22

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