出版社内容情報
発足から終焉までの集団人間劇を描く超大作。 ベストセラー待望の文庫化。新選組発足から終焉までの集団人間劇をシュールにコミカルに描く超大作。第43回文藝春秋漫画賞受賞作。 現代に遺る幕末期の古写真や肖像画を繋ぎ合わせ、かつての景色と体臭を見事に蘇らせる「黒金歴画」。本書はその第一作目にあたり、ベストセラー作品の文庫化である。▼近藤勇、土方歳三らが、尽忠報国の志を胸に結成した新選組。その集団人間劇を、シュールにコミカルに捉えながら、当時の風景を描いていく。構成は新選組最大の事件「池田屋騒動」に始まり「箱館戦争」まで、主だった事件を一つの章とし、全45編に分かれる。史料を渉猟し綿密な検証に基づく物語は、決してヒーローを作ることなく距離を置いた接し方で進行し、ユーモラスな漫画表現に潜む真実が、時には乾いて時には重みを増して伝わってくる。歴史認識の新しい手段がこの歴画という言葉で表現されているのである。▼また、文庫収録にあたり、新発見の話題を提供するため「新選組發見傳」26編を新たに書き下ろし増補。傑作と賞された単行本からさらにボリュームアップして登場！ ●池田屋騒動 ●芹沢鴨暗殺 ●蛤御門の変 ●坂本龍馬・中岡慎太郎 暗殺 ●土方歳三・北へ ●沖田総司 他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな（灯れ松明の火）
35
父の所蔵本。新撰組の存在を知らしめた池田屋事件から始まる。新撰組を美化するのではなく、当時の人々の証言を平等に扱い、亡くなった人々に思いを馳せるような現在に生きる人間としての客観的な視点を持った造りに恐れ入ります。血生臭い場面が多いのに池田屋での雛壇、鴨と芹川鴨暗殺、黒猫、傘、筆と虎鉄、首級と西瓜など漫画ならではの遊びも豊富であり、記録が残っている分、隊士達のことも描き、顔に至っては資料を基にし、想像だけで顔を描かないという緻密さと当時を生きた人々への一種の誠意がある。2012/08/25
LUNE MER
18
新選組に関して残されている記録および子母沢寛作品での各種エピソードに黒鉄ヒロシさんの劇画を添えた、マンガ感覚で新選組史を通読できる一冊。各キャラのビジュアルも残された肖像画(本人もしくは血縁者)をベースにしているので徒に美化されたりしているものにはないリアリティがある。ブラックジャックの名エピソード「人生という名のSL」へのオマージュのような最終話が特に好き。2022/04/01
いなぎ
10
子どもの頃に父に借りて、カバーをボロボロにしながら何度も読んだが、随分久しぶりに再読▼私にとっては新選組の原体験であり、今でも新選組に触れる時にはこの黒鉄ヒロシ流の新選組がベースになっている。あとがきにもある通り、「幕末期に精一杯に踏ん張ったひとつの生き物」のような新選組だ。思想性に乏しく、ひたすら恐ろしく、しかしどこか愛嬌にも似た滑稽さがある▼大久保大和を騙った近藤が処刑され、土方が北へ向かう辺りからは、いつも何とも言えない寂しさを噛み締めながら読み進める▼今後もまた、折々読み返したくなると思う。2022/11/04
misia
10
友人の引っ越しに伴い大量に引き取ったコミックの中に発見した一冊。片付けの最中つい読みふけってしまった・・・。今まで読んだ新選組関係のマンガとは一味も二味も違う旨味がある本書。とにかくシュール。ストーリーとして山場がある訳ではないが、史実として伝えられている出来事にスパイス的なセリフや描写がピリリと効いている。そしてラストがすごくいいです。改めて、北へ、西へ手を合わせたいです。2018/06/17
尿酸値高杉晋作
8
何度目かな。 土方の最期は本当に切ない。 副長ーーーーーッッ！！！2019/12/04
