感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aki
4
1985年刊行なので、タイトルの「今上天皇」は昭和天皇を指す。英邁な天子を得たのは日本にとって大きな僥倖だった。昭和天皇なしで終戦の聖断はありえなかったから。タイトルの「奇蹟」はラスキの「王冠は敗戦を生きのびることはできない」に由来する。戦争に負けると、君主は退位させられたり、殺されたり、亡命したりといったことが普通なのに、昭和天皇は、あの敗戦の後も君主であり続けた。ホント奇蹟としかいいようがない。今考えると、この本は天皇社会学、もしくは君主社会学の嚆矢というべきか。支配の社会学とは、ひと味、違うぜよ。2016/11/24
MIRACLE
2
今上天皇（きんじょうてんのう）とは現在、在位している天皇の呼称である。本書は、当時在位していた昭和天皇が戦前戦後の日本で果たした役割について、情熱的（？）に評価した本だ（1985年刊）。近代の日本は皇室を機軸にすることで、近代国家としての体裁を整えた（95頁）。その結果、近代日本において天皇は、キリスト教流の唯一絶対人格神的な性格をもつに至った（84頁）。西園寺公望曰く、日本国民は自分の民度に合う政治しかできない（127頁）。天皇制は個人の尊重に無縁な日本人にとって、今なお、有効な制度であるといえよう。2016/02/20
晩鳥
2
今上天皇とあるが、この本が書かれたのはまだ昭和であるため、現在の天皇ではなく昭和天皇についての本である。「日本は戦争に大勝した」などやや日本万歳なポジティブさが行きすぎな気がしないでもないが、まあ悪いものではない。天皇陛下という存在の意義や、大東亜戦争においてどうあったかなどが語られている。2014/02/16
Tenjiku
2
小室先生の本を読んでる人なら大体知ってることが半分。もう半分の乃木大将・日本のイデオロギー・天皇陛下の戦争責任に関する先生の指摘は鋭いと思った。2010/03/11
startvalue
1
★★★★★2020/04/28
