内容説明
ウェストマークの見かけの平和は、二年で終わりを告げた。レギア王国にひそんでいたカバルスが、不意をついて帰国し、ふたたび独裁政府を打ち立てる。散りぢりになった女王と三人の執政官たち…。傷つき、斃れゆく者たち…。人々の、みずから立ち上がろうとするうねりの中で、正義と不正、団結と離反、愛と憎しみの嵐が、首都マリアンシュタットをおおう。全米図書賞、アメリカ図書館協会年間最優秀図書賞にかがやく三部作。
著者等紹介
アリグザンダー,ロイド[アリグザンダー,ロイド][Alexander,Lloyd]
1924~2007年。アメリカのフィラデルフィア生まれ。高校卒業と同時に銀行のメッセンジャー・ボーイとなるが、1年ほどで辞め、地元の教員養成大学に入る。19歳で陸軍に入隊。第二次世界大戦に従軍し、除隊後、フランスのソルボンヌ大学で学ぶ。1955年、31歳のときに最初の単行本を出版。当初は大人向けの小説を書いていたが、児童ものを手がけるようになって作家としての評価が高まった。主な作品に、「プリデイン物語」全5巻(第5巻『タラン・新しき王者』でニューベリー賞)、『セバスチァンの大失敗』(全米図書賞)などがある
宮下嶺夫[ミヤシタミネオ]
1934年、京都市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
6
レギア王国と和平し、いよいよ平和な時が訪れようとしていたのも束の間、カバルスが再びウェストマークに戻ってきます。しかしそれぞれの思惑を他所に小さな戦渦がやがて大きな渦を巻き起こす。果たして最後に笑うのは誰?ウェストマーク戦記第3弾。いよいよ最終巻です。中盤から後半にかけての怒涛の展開がスゴイ。何だかレ・ミゼラブルを思い出しました。表紙にある丹地陽子さんのイラストがステキでした。★★★★2010/04/11
ミミネコ
5
最後の戦いは民衆が立ち上がり、噂と事実が入り混じり新たな支流が出来上がる。そしてその流れは誰にも止められない。民主制になれば当然君主は必要なくなる。というか、いてはならない存在になる。レ・ミゼラブルのようだった。2018/09/27
杏子
4
終わりましたね…。良くも悪くも。善なる言論と悪なる言論は両方フェアに扱われねばならない、ってのが印象に残りました。言論の自由ってやつね。 主人公たちの行く末も半端じゃない!人もばんばん死んじゃうし…。戦争なんだから当たり前なのかもしれないけど、厳しいね。 この戦争は作者自身の体験に基づいて描かれたものだったんですね…どうりでリアルなわけだ…。夢や、おとぎ話じゃない、現実の世界を模索したものだったんですね…児童書とは思えない、深い内容でした。2009/03/07
にま
4
表題どおり、マリアンシュタットに嵐が吹き荒れます。反乱軍、民衆、政権を持つもの、政権を狙うもの・・・さまざまな立場で人が考え行動を起こし、死んでいきます・・・。何のために戦うのか・・、深いテーマながらも、とても読みやすかったです。2009/02/27
mayuri(Toli)
3
2巻3巻と少なくない血が流れるのがとにかく悲しかったです。それでも残された人は、自分たちがつかみ取った新しい体制の中で頑張って生きていくのでしょうね。 英雄性の否定のような物語。英雄的行為より民衆一人一人の生活のほうが時に偉大であるというロイドさんのテーマの一つを覗くことができました。2011/06/21