内容説明
嘘つきに強欲、ペテンに札付き前科者。「そして誰も…がだまされた」豊かな物語、謎の魔力、芳香漂う大人のヴィンテージ・ミステリ。『スルース』『衣裳戸棚の女』の奇才が挑んだ英国ミステリの粋。
著者等紹介
横山啓明[ヨコヤマヒロアキ]
1956年生まれ。早稲田大学文学部卒。英米翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
105
探偵が事件の起きた町や容疑者たちをやたらdisるので、嫌な気分になった。特に被害者の未亡人に対してがひどい。そんなに嫌な人には見えない。探偵が最も好感が持てない嫌な奴。森秀俊氏の解説によると、クリスティをリスペクトしていたらしいので、この作の犯人像はクリスティの某名作にインスパイアされたのかな。ベヴァリークラブはバークリーの『毒入りチョコレート事件』のあのクラブを思い出す。こちらは事件解決を外部委託だけど。『衣装戸棚の女』の方が好き。2019/12/10
ふう
5
これまた格調高いバカミスと言えなくもない作品。すべてが壮大なゲームっつうかなんつうか…。「まったくもって操り人形だよ!」ってほんと読者のわれわれもそんな感じ。うーん騙されたけどなんでだろ、そんなにやられたー感がないのはw タイトル「ベヴァリークラブ」なんて大雑把なのより「ほら、かわいい鰐さんが」の方が私は惹かれるんだけど…あくまで私はだけどw2010/12/20
カーゾン
4
L:衣装戸棚の女程の"呆れ"はないけど、そこそこ呆れました。どなたかは書いていたけど"読者もあやつり人形"とは言いえて妙ですな。でも一読する価値は充分あると思います。2023/03/23
schizophonic
3
以前、訳された『衣装戸棚の女』では、「これってあり!?」な密室トリックが大変に印象的だったが、本作も『衣装戸棚の女』とは、また違った意味で「こんなのってあるかぁ!」といいたくなるようなねじくれた真相に苦い笑いが浮かぶ。気に喰わない人物には食ってかかり、手がける事件は選り好み、かと思えば欲しい彫刻のためなら難題に挑むのも厭わない、どこまでも我が道を行くヴェリティの名探偵然としたイヤ味な言動が愉しい。2011/04/30
アラフシア
3
1952年の作品。判事が自宅で殺害された。友人だったベヴァリー・クラブの会員の男が容疑者となるが、無罪を勝ちとった直後に「真犯人がわかった」と書き残して事故死する。同じく会員の探偵ヴェリティは真相解明に乗り出すが…。事件関係者の全員が怪しいという状況から、意外な真相が明らかに。驚きは『衣裳戸棚の女』に負けるしテンポがのんびりですが、英国ミステリらしい、いい意味でいやらしい作品でした。原題"How Doth the Little Crocodile?"2010/05/17