内容説明
19世紀半ばのアメリカ、ニューオーリンズ。そこで英国領事を務める男の元へ相談が持ち込まれた。「娘の様子がおかしい。“ヴードゥー・クイーン”に魅せられているようだ。なにかの事件に巻き込まれなければいいが」と。その最中、警告を発するように、外から人間の首を思わせる瓶が部屋へ投げ込まれた。走る馬車からの人間消失、衆人環視のなかの謎めく死、銃撃、そしてすべてを見透かすような「犯行予告」には“パパ・ラバ”と署名が…。巨匠が描く歴史ロマン溢れるミステリ長編。
著者等紹介
カー,ジョン・ディクスン[カー,ジョンディクスン][Carr,John Dickson]
1905年アメリカ生まれ。30年にアンリ・バンコランが探偵役をつとめる『夜歩く』でデビュー。密室の王者とも称された不可能犯罪小説の巨匠。その作品の神秘性や不可能趣味は、のちのミステリ界に大きな影響を与えた
村上和久[ムラカミカズヒサ]
英米翻訳家。軍事・政治からサスペンス・ミステリまで幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
19
ヴードゥーの呪い、馬車からの人間消失、衆人環視の中での殺人、変わった凶器などいかにもカーらしい要素がみっちり詰まっている。密室がないのが不思議なくらい。トリック自体はどれも他愛ないが。本作の最大の特徴は南北戦争当時のニューオーリンズが舞台の点。主人公を英国人領事にしたことで、当時のアメリカ南部の雰囲気や風俗が客観的に描かれている。探偵役の上院議員が「いずれ探偵小説と呼ばれる分野が誕生するだろう」と予言するあたり、カーのミステリへの愛を感じた。2009/12/18
terataro
6
カーの長編傑作。登場人物にデルフィーンラローリーや、ヴードゥークィーンなど実在者が含まれる。日常の何気無いものが、無数に散らばる犯人の痕跡と絡まり、巻末に向かうに従い鮮明になる。トリックネタも些細なものなのに、この吸着力は新鮮だった。2013/06/01
**くま**
4
歴史ミステリ。ニューオーリンズはもともと興味があっていつか訪れたいなと思っていたので(乗り継ぎで空港へ立ち寄ったことはあるのですが)、これも半分トラベルガイド気分で楽しめました、特に序盤。女性のファッションとかもろに「風とともに去りぬ」な感じ。南北戦争前のアメリカ南部、映画にもよくなってるし、カーの他の歴史ミステリよりそういう意味では私は興味が持てました。ただミステリとして期待して読むようなものではないし、文章も新しい訳なのにイマイチでまわりくどく、しかも長くてキャラが地味。カーマニアだけ読めばいいかな?2014/03/07
mordidaman
3
唯一未読のカー長編、とうとう読了しました。 肝心の本作の出来ですが、カーに嵌った私には、人間消失や衆人環視の中での殺人、主人公のロマンスやアクション、歴史趣味といったカーらしさが充分に味わえる作品でした。但し、カーの著作中の優先順位としては、カーが好みに合い全盛期の作品を読まれてからの方が良いかと思います。2024/02/22
青
3
図書館本。カーの小説が図書館にはこれともう1冊しかなくて、借りたんだけども。 実在の人物を絡めてっていうのは面白かったけど、全体的に読みづらい。 ロマンス的な要素も、ミステリー的な要素も全体的に中途半端感がある。 キャラクターがちょいちょい人によって呼ばれる愛称が違くて混乱させられた。 もう1冊も借りてきてるんだけど…大丈夫か不安www2022/01/02