内容説明
豪華客船メガノート号、満員のサロンでは恒例のオークションが行われていた。スミス氏が最高値で落札しようかというそのとき、不意に室内が暗くなりはじめ、やがて闇に包まれた。そして銃声が響き渡る。まもなく非常灯が部屋を照らすとスミス氏は胸を血に染めて倒れていた。ところが検視の結果、スミス氏が銃撃の直前に毒殺されていたことがわかり、謎は混迷を深めることになる。ポンズ博士をはじめとする4人の心理学者たちがそれぞれに推論を重ねて探偵ぶりを発揮するのだが…巻末に「手がかり索引」を付したオベリスト・シリーズ第1作。
著者等紹介
キング,C.デイリー[キング,C.デイリー][King,C.Daly]
1895~1963年、アメリカ。心理学者でもあり「探偵小説界のオルダス・ハクスリー」ともうたわれた探偵小説黄金期の代表的作家
横山啓明[ヨコヤマヒロアキ]
1956年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
78
『毒入りチョコレート事件』+乱歩の「心理試験」か。重要人物が最後近くまで正体を隠しているので、その点本格としてはフェアではない。本格なら、情報は全部読者に晒さねば。犯人の行動が終わり近くに怪しくなってくるので、見当がついた。手がかり索引を見てやっぱりねと思った。推理比べをする心理学者が4人ともポンコツ。それが毒入りチョコレートとは違う。向こうは6人のうち最初の2人だけがポンコツ。本作は『探偵を探せ』でもある。心理学者の口を借りて、探偵小説への皮肉も。2018/05/15
cinos
8
停電の後、銃が火を噴き、電気がつくと男が銃を落とし、 その場に死体が…。 多重推理とその後の展開がすごいです。 ただ、手がかり一覧が期待ほどでは…。2016/07/18
みゅん
7
読友さんの感想「鉄路のオベリスト」鮎川哲也翻訳が気になりシリーズ読めればいいなと思っていたら この本に出会いました、読まねば。豪華客船で起こる事件に乗客の心理学者達が謎を解明としようと各々の理論を展開していきます。この理論に何か違う、頼りないと感じ始め「手がかり索引」を覗いてみると「トランプのひとり遊びならいざ知らず、本書でのいかさまは厳禁」の注意書き。心理学者でもある作者に痛い所つかれました。読了後 索引に目を通し、再びその前後を読んでしまうのは作者の術中にハマった事になるのかな。次いってみよ〜2015/03/31
やっす
5
オベリストシリーズの第一作目。心理学者でもあった著者の作品らしく、四人の心理学者が登場してそれぞれが独自の考察を展開するのですが、正直この部分は些か冗長だと思う。容疑者が二人に絞られたかに見せつつ意外な探偵役の登場を演出し、一気に真犯人逮捕へとなだれ込む終盤の展開はなかなか良いだけに余計にそう見えるのかも。肝心の手掛かり索引に関しては、気づいていたものとそうでないものもあったりして、これはこれで面白いですね。まあこれだけの手掛かりで真相を推理するのは無理じゃないかとは思いますが。w2014/06/28
おふねやぎっちらこ
3
まあ面白かった。探偵小説黄金期の作品翻訳遅すぎないかい。2023/09/30