内容説明
「理想の体現」か、「冒涜的存在」か?文学、芸術、医学などそれぞれの分野で強い関心をもたれた「半陰陽なる者たち」。17、18世紀という時代は、この存在をめぐってどのように揺れ動いてきたのか。当時の文学・芸術・医学の膨大な資料をひもときながら克明に描く“薄明かり”のなかのヨーロッパ精神史。
目次
1 作り話(サルマキスとヘルマフロディトス、あるいは恋の情熱;イヴのいないアダム、あるいは自己充足;アウステル人とメガミクル、あるいは空想物語)
2 医療の確立(有無を言わせぬ明快さ;乗り越えがたいあいまいさ;夢の可能性)
3 審問(暴かれた古い歴史;マルシス、ダプルモン、ラファネル、マロールの裁判;「アンヌ=ジャン=バティスト」・グランジャン)
著者等紹介
グライユ,パトリック[グライユ,パトリック][Graille,Patrick]
パリ・ウェスレヤン大学教員。啓蒙の世紀について“欄外”とされている部分を研究し、「18世紀の奇形の概念、知と幻想」で博士論文の公開口述審査を受けた
吉田春美[ヨシダハルミ]
上智大学文学部史学科卒業。フランス文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Smith, Ordinary. Person.
1
17〜18世紀の欧州においての“半陰陽”の歴史。希少で貴重な図版を多数掲載。現代でこそ偏見は残るものの、きちんとした配慮や対応をされている半陰陽者だが、当時は人権やプライバシーなど全くなかった。一部の啓蒙的な思想家や医学者は彼らに科学的考察を試みたが、それが彼らを助ける一方で、偏見を助長したり新たな偏見を生み出したりするという悪循環も生み出した。当事者としては悲劇だろうが、その啓蒙精神の結果として、整形手術ができる医師がいて、手術を受ける権利があって、日本を含む世界各地にIS運動団体が存在しているのだ。2013/04/30
Fuck_the_Facts
0
僕はみさくらなんこつが好きなのですが両性具有はリアルじゃなくてバーチャルで楽しむべきものですね2013/03/24
ほしけも
0
発達しすぎたクリトリスで女と性行為とか、乳から糞が出るとか 現代のHENTAIもびっくりの発想も真面目に取り扱ってます。 2013/01/23
xxx
0
17,18世紀において両性具有者がどういう視線で見られていたか 性的に曖昧であることは罪であり、しばしば本人の意思に関係なく「男の服装」「女の服装」をするように要求された。検査の仕方も見せ物的であったことがわかる。2019/08/09