内容説明
長篇の書き出し法から場面転換のテク、プロット構築のケーススタディから不屈の投稿精神まで、楽しみながら一気にマスターできる究極の作家入門。
目次
第1章 嘘つき商売―職業としての創作(ねらいを定めて;市場分析 ほか)
第2章 仕事に熱中、ひたすら熱中―規律としての創作(作家の時間;ニンジンとムチ ほか)
第3章 おお、なんと入り組んだクモの巣―構造物としての小説(開口一番;最初を次に ほか)
第4章 一語書いては母のため―技法としての創作(謝らない、説明しない;彼は言った、彼女は言った ほか)
第5章 これが真実では?―精神的演習としての創作(作家の祈り)
著者等紹介
ブロック,ローレンス[ブロック,ローレンス][Block,Lawrence]
1938年アメリカ生まれ。61年に『死の裏切り』でデビュー。70年代以降からマット・スカダー・シリーズでベストセラー作家に。シリーズ代表作の『八百万の死にざま』は映画化され、『倒錯の舞踏』ではMWA長編賞を受賞した。アメリカン・ハードボイルドの代表的作家の一人である
田口俊樹[タグチトシキ]
1950年生まれ。早稲田大学文学部英文科卒。英米文学翻訳家
加賀山卓朗[カガヤマタクロウ]
1962年愛媛県生まれ。1985年東京大学法学部卒。英米文学翻訳家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
24
大好きな作家ローレンス・ブロック氏の作家入門書。ライターズ・ダイジェストという雑誌に4年間にわたって書かれたコラムをまとめたものです。小説を書くにあたって必要な様々なスキルや悩みの解決方法、考え方を分かり易く、軽妙洒脱に書かれています。また売れっ子作家の知られざる、執筆の進め方、アイデアの浮かべ方なども書かれており、作家を目指している方には非常に役立つ指南書となるのでは。勿論単なる読書好きの私が読んでも、一エッセイとして多いに楽しめました。しかし、氏の一日の執筆時間には驚いたな。2015/11/28
烟々羅
18
この本をぼんやり、八割方めくり了えていたから、昨晩は三津田ミステリを長篇二冊読んだのかもしれない。あの技法、この技法と味わいながら。「小説読みは三十五歳にもなれば、読み掛けたというだけの理由で読了しない決心をするだろう。良い小説を見分ける目もできてる時期だ」「小説書きの読み方をしたら読む速度は落ちる。世間のベストセラーでも、読むに耐えず、添削するか放棄するかって選択を迫られ楽しめないものが出てくる。その代わり、味わうに値する本は本当に楽しめる」(ともに要約は私) Sキングの文章読本より、こちらのほうが、2012/05/10
冬佳彰
13
この手は、昔々、クーンツやキングの本を読んだが、重なる部分も重ならない部分もあり。本書は、すごく正直に、なおかつ総合的に書かれた入門書だ。「○○をしてはいけない」と言い切らず、それは各々の場合による、と丁寧に説明を重ねているのが真摯なところだろう。4章に出てくる、色々なことのごまかし方(言い方は悪いが、本当にそう書いてあるんだな)は、おお、そこまで言っちゃうのか、って感じだ。「スカダーの時は、こうだった」と舞台裏を教えてくれるのも面白かった。(続く)2021/06/02
くさてる
9
ベストセラー作家、ローレンス・ブロックによる実践的作家入門。物語を書くひとにはもちろん、そうでないひとにも「書くこと」に関するウィットに富んだエッセイとして楽しめるかと思います。個人的には、ブロックがウィリアム・トレヴァーを高く評価していたのが驚きと共に納得でした。2015/02/21
げんなり
4
小説の書き方の本ではあるけれど、それよりも書くことについてのエッセイとして面白い。著者の作品はまだ読んだことはないのだけれど、この本が書かれた時点でもかなりのベテランなようなので、やはり着眼点には力強いプロ意識があり、そしてそれをユーモアを交えながら読後の満足感あふれる文章とするのは流石の技なのだ。 全5章、どこを選んでもなるほどなと思うことがある。個人的には最後の章の飾らない感じ、作家であり続けることの喜びと困難とがすごく理解できるこの文章が好きだ。2022/07/26