出版社内容情報
王政期から帝政前期までの政治体制や社会の変化と関連づけながら、その時代を生きた女性の地位やあり方を描きだす。時代・社会を映す女性像
本書は古代ローマの女性が隷属から解放に向かう王政期から共和政期の描写に重点を置き、政治体制・社会の変化と関連づけてローマの女性の姿を描きだす。初期のローマでは女性は従属的な立場に置かれていた。帝国の拡大に伴い、富が流入し戦争が長期化した社会の変容を反映し、女性の立場も変化する。財産を持つ貴族女性は解放され、政治の舞台にも登場するようになる。帝政初期では高い身分の女性たちのなかには放埒ともいえるほどの気ままな行動が看取された。やがて一世紀が終わりを迎える頃には帝政も安定軌道に入り、それを反映してか、男女関係も均衡を取り戻し、女性の立場も再び「父祖らの慣習」に準じた枠にはめられたものに戻ってゆく。史書・法・詩・医書・思想書・碑文・図像などさまざまな資料から証言を集め、時代を追ってその女性像を写しだす。
ギイ・アシャール[アシャール]
西村 昌洋[ニシムラ マサヒロ]
神戸大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程修了、京都大学博士(Ph.D.)、西洋史学専攻。現在、立命館大学非常勤講師。訳書に、ピーター・サルウェイ編、南川高志監訳『オックスフォード ブリテン諸島の歴史一―ローマ帝国時代のブリテン島』(共訳、慶應義塾大学出版会)、ロバート・クナップ『古代ローマの庶民たち』(監訳、白水社)。
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